映画 「急に具合が悪くなる」の題材の1つにユマニテュード

今年のカンヌ国際映画祭で主演2人が女優賞に輝いた「急に具合が悪くなる」が先月公開されたようです。残念ながらまだ観ておりませんが、「ユマニテュード」と言う介護の技法が題材の一つになっていると知りました。2014年日本に上陸し私も大いなる関心を持って、講座に通いました

フランス語で「人間らしさ」を意味するユマニテュードは、「見る」「話す」「触れる」「立つ」を四つの柱に掲げます。体育学の教師だったイブ・ジネストさんは1979年から、看護師の腰痛対策に取り組む中、寝かされたままケアを受ける認知症の高齢者が多いことに衝撃を受け、ケアする側も「起きてください」と働きかけることもなく、抵抗する人を「攻撃的」だとみなし押さえつけている現実を知り、この事から同僚のロゼット・マレスコッティさんと共に「立つことは尊厳に関わる」とユマニテュードを開発。目線合わせて話しかけ、これから何をするか説明し、背中や肩から優しく触れることで、「あなたのことを大切に思っている」と伝えることを大切にした新しい手法の開発でした

この映画の監督・濱口竜介さんは「よりよくケアすることによって、ケアする側の尊厳が保たれる」と言うユマニテュードの考え方に共感なさって、取材のために参加した研修では「患者さんが反応してくれた時に、看護師さんが『ありがとう』と言っていて、ジネストさんは「私たちもケアをする人に頼っている。頼ることで人とのつながりが生まれる」と語っておられたそうです。そしてイブさんは私たちが「自分の感情を正直に表現すること」「相手に近づくこと」を恐れているとしたうえで、「よいケアは自由な二人の出会いそのもの」と指摘してらして、映画で描かれているのも、まさに「自由な二人の出会いそのもの」だと
原作は病を抱えて生きた哲学者の宮野真生子さんと、人類学者の磯野真穂さんによるお往復書簡をまとめたものであるが、映画の中では「相手に対応し、自分自身を調整することによって新しい価値が生まれてくるというのところが、ユマニテュードと響き合うと・・

又「関心」と言う社会的に大切な資源がひたすら奪われる社会構造になっていると思っておられて、それが確信に変わっていったのが前作・ドライブ・マイ・カー制作の際にも影響を受けた一つが「ユマニチュードと言う革命」の本だったので、今作にもこうした問題意識が通底していると述べておられます

「人に関心を寄せるための時間と余裕が奪われている状況は、介護の現場にとどまらず、映像業界でも、おそらくどこでも一緒。構造を外側から見て、問題のある部分にアプローチするというユマニテュードのやり方はすごく参考になる」と、ユマニテュードの創始者・イブさんとの座談会でも述べておられます

そう言えばかつて受講した講習会でも、フランス大使館で開かれた会でも全国各地から集まった、沢山の看護師さん・介護士さん方々の熱気がすごく、お話聴いて皆さんキラキラしてらして、休憩時間にはイブさんにお声がけしたり感謝を伝える方が列をなし、思わずハグし合う場面にたくさん出くわしました。現場の方々も強く共感されたんだと思います。その場にいてこれは大きな改革なんだ!とこちらまで心揺さぶられたことを思いだしました・・・

イブさんのユマニテュード受講なさった方々が全国に散らばって、あちこちで小さな、しかしながら大切な改革を実践なさっておられることでしょう。誇りと喜びと、希望を携えて・・
実際今、母がお世話になっているホームの看護師さんからも「ユマニチュードの本貸していただけますか?」とお声かけられ嬉しくなりました。あちこちで気づかれ、前向きに取り組まれ、未来に向かって進む方が出てくることは嬉しい限りですね
私も時間作って、ぜひに映画を見に行きたいと思います

イブさんはもちろん、日本に紹介くださった本田先生にもたくさんのありがとうをお伝えしたいと思います