イカナゴのくぎ煮

ご紹介するのが遅くなり季節が過ぎてしまいました‥とは言え、イカナゴってなぁ~に?の方もいらっしゃるかも。私たちも随分前に売り場で偶然!試食するまで知りませんでした。
つやつやに煮た、いい匂いの「イカナゴのくぎ煮」。初めて食べた時は、その甘辛具合が美味しくて即買い。いっぺんでファンになりました

イカナゴとは、列島各地の海域に生息し、他の魚の餌になって海の食物連鎖を支える意味でも重要な魚種だそうで、多くは瀬戸内での漁獲で1970年~1980年大をピークに減少。イカナゴが産卵・生息するための砂場が海砂採取により減ったこと、海域の貧栄養化でイカナゴの餌になるプランクトンが減ったこと、過去の漁獲量の与えた影響などが原因として指摘され気候変動との関係も、事態を複雑にする・・と説明があります

地元の魚の解禁に、季節の訪れを感じる、イカナゴのシンコ(稚魚)は、播磨灘から春を告げる便りだそうです。甘辛く煮た「くぎ煮」は格好のごはんのお供で、一説に茶色の見た目が古釘に見えてそう呼ばれたとか
な~んだ佃煮じゃないの!?と言われてしまえばそれまでなのですが・・

地元の方々はご自分で煮るそうですが、漁獲量が減って「庶民の味がいつしか、高級魚になってしまった」とくぎ煮への思いをつづる方もあって、随分値段も上がり手にされた時には「大事に炊いた」・・と
「それでも作るのは、自分の気持ちが収まらないからでしょうね」とくぎ煮愛!を語っておられます

瀬戸内海沿岸、特に播磨灘から大阪湾にかけての家庭で、くぎ煮が春の味として愛されるようになったのは、そう古い話ではなく、40年ほど前まで、加工食品業者が扱う以外、イカナゴの利用は養殖魚の餌が中心。食卓に上がるのは漁師の家の限られた範囲でした・・と。味はいい。けれど鮮度が落ちやすい、餌用でなく、食用として売ることはできないか?浜の女性たちがイカナゴのくぎ煮を広める動きが起きて広まったようです

そう言えば私たちが試食で口にし魅了されたくぎ煮は、「播磨屋」さんと言う名前だったでしょうか・・?ご飯のお供だけでなく、その甘辛さの具合いがほんとに美味しくて、ついついつまんでしまうのでした。すっかりくぎ煮ファンになって、春にはデパートの一角にくぎ煮を見つけると小躍りしたものです
当時偶々見た雑誌に、あの「VAN」石津謙介さんのインタビュー記事があり、お生まれは岡山だそうで「この時期何が美味しいって、イカナゴのくぎ煮。家庭によってお醤油と砂糖の塩梅は違うけど春の訪れにはこれがないとね」とおっしゃっておられ、「うんうん」アイビールックの神様もお好きなんだぁ~くぎ煮!と妙に嬉しく思ったもんです
最近は残念ながら口にできていないのですが、その甘辛さと古釘のような形に炊かれた、小さなシンコのお味はなぜかふとした時に思い出します・・旨いのなんの!って

漁獲減による価格の高騰に、人の交流が途絶えたコロナが重なり、手作りを牽引した世代が引退し次の世代が入ってこないなど。地元の小中学生へのアンケートで、イカナゴを知らないという回答が3割近くあったそうです。でも「阪神淡路大震災で受けた支援のお返しに、手づくりのくぎ煮を贈る人が多かったことで地域以外での知名度も上がった」こともあり、作る楽しみと共に今後の継承のかたちを考えているとのこと
すばらしいですね
「旬を楽しむ習慣を、失うわけにはいきません」
食文化を守ろうとする地元の方々を応援したい気持ちです
皆様もどこかで見つけたら、イカナゴのくぎ煮召し上がってみてください
美味しいのなんのって!
日本酒は何が合うでしょうか? 考えただけでもごっくん!