新しい大人

週刊誌で面白い記事を読みました。タイトルは「肉食高齢者増加中」という記事で肉好きの高齢者が増えている、戦後に海外から流れ込んだ新しい食文化とともに育ってきた世代が高齢者となり、古くからの日本の食文化を「変革」させているためだ。「高齢者=粗食」はもはや過去の話になりつつあるというものです。実際開業30年になりますと長いお付き合いの方も多いですが、高齢になられた方々そういえばかなりしっかり召し上がってらっしゃいます。私の93歳になる総義歯の父も、ステーキ大好きです。この記事の高齢者栄養学の熊沢教授によれば「老化とは身体の中からタンパク質が抜けて、乾いて、縮んで、ゆがむ変化の事を言うのです。老化を遅らせるためには、筋肉や骨の材料となるタンパク質を身体に取り込み、絶えず補給していくことが欠かせないのです」と明快に答えられています。ですので現在の肉好き60代を食文化の先駆者ととらえてらっしゃるようです。そこで博報堂は「新しい大人文化研究所」を立ち上げたとのこと。抜粋してみます。

今、「高齢者」の概念が大きく変わりつつあります。これまでのように「黄昏中高年」による「枯れていく老後」のようなマイナスイメージではなく「若々しくセンスある大人」による「人生最高の時」への転換です。大きなきっかけは2007年前後に始まった「団塊の世代」の退職です。すでに成人人口の過半数を50代以上が占めるようになるなど、日本は若者中心の国ではなくなっていましたが、団塊の世代が60代を迎えたことで、新しい高齢者像が姿を現したのです。この約800万人はグループサウンズでつながっており、集団としてのパワーが非常に大きく、常にイノベーションをおこしてきた世代なのです。食生活も同様で、電子レンジ・冷凍食品・インスタント・レトルト食品の利用を始めて取り入れた世代なので、60代に・70代になったから急に粗食にすることなく、食事を楽しむ素晴らしさを知っているとの分析です。それで40代以上の世代を「中高年」「高齢者」という概念でなく、「新しい大人」として調査・研究している、40代〜60代では「年齢に縛られない生き方をしたい」人が74・5%。言われてうれしい言葉は
「若々しい」47%、「センスがいい」38・5%が上位で、従来の中高年に対する「成熟した」10・1%を大きく上回ったとのことです。この傾向はどんどん強まり、食卓の風景はもちろん、生活すべてがこれまでの高齢者のイメージでは語れなくなっている。全く新しい「大人文化」による、元気な高齢化時代が到来していると語っています。元に戻れば、お肉を美味し感じることができるのは健康で、エネルギーにあふれている証拠でもあるわけで、健康に良い悪いの前に、自分が必要とするから食べている。その意気込みと信念も、後ろ向きな発想など微塵もないと締めくくっています。

肉好き高齢者の話から発展しましたが、私達歯科ではただ単にお口の中を拝見しているわけではありません。その方の生活を見ずして、お役に立つことはできません。「新しい大人」という概念は今後の歯科の仕事を進めるうえで、とても示唆に富んだ記事でした。そういう私もお肉大好き。ただしその何倍もお野菜を食べるように心がけています。健康保険では年配者を前期高齢者・後期高齢者、巷ではシルバーなどと呼びますが、「新しい大人」って呼ばれたら嬉しいかもしれません。「大人」っていう言葉の響きちょっとス・テ・キ。若い方からあんな年齢のかさねかたをしたい、と思っていただけるように心がけたいと思いました。高齢化社会に突入と言われますが、心持ち次第で、楽しくなったり、快適になったりするのではないでしょうか? とても面白いご意見の記事でした。

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