米国で発掘された約一億5千万年前(ジュラ紀)の草食恐竜の化石から、呼吸器感染症にかかっていた跡とみられる首の骨の異常が見つかった。恐竜も人間と同じように、喉の痛みやせき、発熱に苦しんだのかもしれない。米国などの研究チームが科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。
恐竜の化石は、米モンタナ州の地層から出土。研究チームによると、首が長く四つ足の竜脚類の仲間で「ドリー」という愛称で呼ばれていた。
ドリーの首の骨を調べたところ、変わった突起を見つけた。異常に変形した骨でできており、感染症が原因で生じたと考えられた。
骨の突起は、空気が通る「気嚢」と言う器官が、骨の中に入り込む部分の近くに出来ていた。先ず気嚢に病原体が感染し、その後、首の骨まで広がったとみられる。
気嚢は恐竜のほか鳥類にもある。研究チームは、鳥類の病気「気嚢炎」のように、感染した恐竜にもせきや発熱、呼吸困難などの症状が死因になった可能性もある、と指摘している。今回のような感染症は、骨から推測するのは難しい。研究チームには、古生物学者のほか解剖医も参加し、医療用のCT検査装置も駆使して詳しく調べたという。
恐竜化石に詳しい岡山大学の林昭次講師は「CT撮影など最新技術を用いることで、化石の表面だけでなく、内部も観察できるようになり、更に古生物学者が医学系研究者と連携することで、多くの新知見を得ることができるようになった」と話している。
先日プロフェッショナルで、日本人の化石発掘のエキスパートで世界中に有名な小林先生が紹介されていた。世界中の岩場や険しい山をいとも軽々と探し回って、それこそ遠くからでも「これは!」と小さな化石を見つけ出す姿に、ビックリもし感動した。日本でもこの学者の姿を追う若者が増えていると聞き、ロマンな世界だなぁ~と思うと同時に、このような地味な分野を研究する方々を応援する仕組みを心から願う日であった・・。