今入院中の父をみて、簡単に「うがい」と言っても難しいことがあるのだ・・と今さらながら感じてみています。
前にもここで書いたように、当院では来院されると、パウダールームで「うがい・手洗い」を済ませて頂いてから、診療室にお呼びすることにしています。
「うがい」と言っても三者三様で、音もなくなさる方もあれば、どんだけ水遊びしたのかと思うくらい(失礼)洗面所をビショビショになさったのに、うがいの気配もない方。
「ゴロゴロゴロ・・」と喉が破れるのでは?と思うくらいにぎやかな方等様々です。
よーく考えたら、うがいには二種類あって「ゴロゴロペッ」と「クチュクチュペッ」ですね。どちらも単純なようで、お口まわりのいろんな筋肉やベロや総動員してうがいはします。
97歳の入院中の父に、ベッドを起こして義歯を外し、義歯をきれいにしている間、「うがい」をしてもらおうと試みますが、せいぜい二~三回の小さなクチュクチュ・・が精いっぱい。「ペッ」が出来なくともちゃんと排出するので、あとはスポンジブラシなどで
口の中は触らせてもらっています。
父の元気なゴロゴロペッツ!を聞いたのは、いつが最後だったかしら・・と思い出そうとしても記憶に出てきません。
何気ない、クチュクチュペッとゴロゴロペッができるということは、お口からまずまず食べられているということだと懐かしく思いながら、今ベッドにいる父の口の中をのぞきながら、軽んじてはいけない、何気ない動作・運動機能などが、高齢になると大きく阻害され、それにより生活の質がどんどん下がっていくことを思い知らさせれています。
毎朝に限らず、できるときにうがいもしっかりやって、お口だけでなく、見えない筋肉の動きなどがあって、一つの運動行為がない立っているのですから、心掛けて体を鍛えることが大事と、病床の父から教えてもらっています。
高齢自慢より、日頃できることをキープすること、そのために小さな努力を惜しまないことが大事と父が教えてくれています。
心配された強風も雨も大したことなく、おぼろげな夕焼けが病室の窓から見えます。
父を見ながら、穏やかな時間が過ぎ、小さな学びが沢山あります。