私淑

私淑とは「直接は教えを受けていないがその人を慕い、言動からまなぶこと」だと言います。著作などを通して、その思想や発想に感銘を受け、自らの思考方法の変革を試みたりします。何か問題にぶつかった時「あの人ならどう考えるだろう」と思う方がいることは大きな幸せです。

若い頃、日本文学に精通したフランス人の知り合いがいて、吉本隆明さんの本が面白いから読みなさい!と言われたものの、恥ずかしながら難しくて理解できないご本ばかりでしたが、テレビ人間の私は、テレビで吉本さんの人生観・猫と住まわる生活のご様子など垣間見て、間接的にでも多くの視座を得ました。心を揺さぶられたものの、ご本は私には今でも難しいと感じています。

夏目漱石が芥川龍之介に寄せたという言葉がありました。

「牛になることはどうしても必要です。われわれはとかく馬になりたがるが、牛にはなかなかなりきれないです」

よい言葉を思い出したら、ちょうど今年は丑年。
桜もおわり、たわわな新緑の中に紫陽花が雨にぬれる季節になりました。