落葉帰根

さまざま資料を整理中、思わず手に取る良い言葉の数々。

考えてみれば、たかだか30そこらで知らぬ土地に開業させていただき、町内会に入れて頂き、患者さん方に沢山教えて頂いての38年でした・・。

最初の居ぬきのテナントを世話下さった地元の不動産屋さんの社長さんが「こんな東京からきた若い坊ちゃん嬢ちゃんにやれるかねぇ~」がご挨拶でした(笑)

そうおっしゃりながら、週に何べんもお訪ね下さり、医院の脇に雑草生えてれば「抜いてきれいにして花を植えなさい」と助言下さり、待合室の雑誌を見れば「先生の好みはわかるけれど、この土地の患者さんが読みたい・・と思う視点で、雑誌は選ばないとダメですよ」と。

極めつけは、最初の家賃値上げがあった時、やむを得ず一回目の値上げに応じて我々がキュウキュウだったことを知って、二回目の家賃交渉の際には、大家さんにこう言って下さったのでした。「若い先生がこうして知らない土地で頑張っている。一回目の家賃値上げ、大変だったのに応じてくれた。だから二回目は大家さんが、若い人を応援してやるつもりで値上げは目をつぶってやってください」これを大家さんも受け入れて下さった事でした。この不動産屋さんの社長さんのご恩は忘れません。その当時の社長付の方が、あらたに地元で不動産屋さんを開かれ、同じように今日までご教示頂いており、人の道をあらためて教えて頂きました。

こうしてこの地で38年やってこれたということは、他人様のご縁なしにありえません。

 

落葉帰根

という言葉を目にして、落ちた葉は根に降り積もり、やがて土に還されて大樹を育てる。ということは、自分が世の中から頂いたものは、やはり後世の為に良き循環をさせていくべきなのかと自問自答しながら日々を過ごしています。

患者さん方を始め、教えて下さる方に恵まれたという幸運は、もったいなくて無にはできません・・。
ゆっくり良き循環を考えたいと思いながら過ごしています。

ベランダの植木鉢の柏葉紫陽花も、紅葉し落葉しました。里の庭なら地面に落ちて栄養になる葉っぱでしょうから、クレマチスの植木鉢の根元に、紫陽花の落葉を置いてやりました。互いの栄養が土を通して生きたらいいなぁ~と思います。