新年初めの折々のことばには、お着物姿も凛としてらした幸田文さんの言葉が載っていました
ただひとつ、去年どんないいことがあったか、
を数えてみることにしている
年が改まると身も心も一新したくなる。でも歳が行くと、そんなけじめなどかまわず、お雑煮も胃の調子次第。心がけているのはただ一つ、と作家は言う。いやなことはずっと引きずるが、いいことはたいていその場かぎり。「愚痴ばあさん」になりたくないから、朝顔が一茎育ち、るり色の花をつけたことなどを思い出していると。随筆集「老いの身支度」(青木奈緒編)から