共生社会

河津桜が咲き始めました。

菩提寺から届いた、アーユス仏教国際協力ネットワークの冊子に、よい文がありましたので紹介させていただきます。

桜の花の季節に思い出す映画があります。河瀬直美監督作品「あん」です。
中年の千太郎(永瀬正敏)が勤める町中の小さなどら焼き屋に一人の老女・徳江(樹木希林)が現れます。徳江が作る餡の美味しさに驚いた千太郎は徳江を雇い入れます。
店はたちまち繁盛しますが、徳江が実は元ハンセン病患者だったことが知れると客足は遠のき、徳江は退職を余儀なくされます。その後、千太郎は徳江の住む全生園に足を運び、その人生に触れることにより、暗い過去を持つ千太郎自身が生き直しを促されるのでした。

映画の終盤、満開の桜に重なって、徳江のことばが流れます。
「私はたしかに聞いたような気がしたのです。月が私に向かってそっとささやいてくれたように思えたのです。お前に、見てほしかったんだよ。だから光っていたんだよ、って」
「この世にあるものはすべて、言葉を持っていると私は信じています。陽射しや風に対してでさえ、耳を澄ますことができるのではないかと思うのです」

徳江は病気への差別により奪われた尊厳を、他からの言葉を聞く中で回復していきました。それは千太郎の人生にも影響を与えたのです。

ハンセン病への差別をテーマとしたこの作品は、ウクライナ・カタール・スペイン・フランス・イタリア・台湾・韓国・・。世界45か国以上で上演され、どの国でも観客の涙を誘いました。

感染症は菌やウイルスが原因なのにもかかわらず、感染した「人」を忌避し遠ざけたい思いが生まれがちなのは、昨今も繰り返されたことでした。差別や世の理不尽により生きる場所を奪われた多くの人々がいます。しかし一方で、その痛みから広がる同感もあります。やるせないことが多い毎日の中で、生きているこの私に向けられている他からの眼差しと心があるのです。

自分だけでなく必ず誰かの力になります。民族や社会のあり方も超え、世間の評価や意味も問う必要のない共生社会は、いのちへの共感から拓かれます。(松本智量)

このコロナ禍、もう一度映画「あん」見たくなりました・・。

☆彡
本日で朝霞中央歯科クリニックHPをひとまず閉店です。
長い間、折に触れ当HPをご覧いただき、食レポ?つまらない日々の呟きにお付き合いくださいまして、本当に有難うございました。思いがけずたくさんの方が覗いて下さっていることを知り、感謝以外にありません。

歯科は生活者医療だと思って38年参りました。
十分お役に立てたかどうか?わかりませんが、ある一つの「おもい」で皆様と繋がれたことは望外の喜びです。このすさまじいスピードで動く毎日にあって、医療は常に人それぞれに即してあるもので、科学的にどうとか、データー上はどうだけでなく、その人そのものに起こっている事にて、人を知ることが大切です。それには知り合わなくてはなりません。

その意味で、長い間拙い駄文ばかりでしたが、当院の思いをちょっとでもお伝えできていましたら嬉しいことです。

皆さまどうぞ、お元気に、いやな事あっても「にもかかわらず笑って」お過ごしください。そしてご自分のおからだ、お口の中を!面倒見てあげて下さい。

今後は他のページで日々を綴らせてただきます。

お元気で!