定期メンテナンス終わり、予防の個室から出られたご婦人が、廊下で・・。
「こうして90になれたのも、いい病院とご縁があったから」と。どちらの病院ですか?に 「こちらの中央さんですよ」と。アラッ・・
ご年配の方は、私共のような小さな歯科医院でも、”病院”と仰います。そのおっしゃる言葉が有難すぎて、「いえいえ、痛くもかゆくもないのに、定期的に歯医者に来ていただき、お口の中をきれいにする習慣をご理解頂き、お続けくださって、こちらこそありがとうございます」と申し上げました。
カルテを確認すると、初診が平成2年ですからかれこれ29年。
殆んど大きな処置もなく、初診時のお口の中を保たれ、三カ月に一度のメンテナンス時には、必ずホームケアの歯ブラシ数本とフッ素のペーストを、ご自分から補充なさいます。本当にお手本のような方です。
随分前にお稽古を始められた水墨画を極められ、最近は池袋の芸劇のギャラリーで発表会なさるお腕前。ステキだなぁ~と思いながら、どうしたらこのようにいられるのだろうと、ふと日野原先生を思い出しました。
「いくつになっても、創めることを忘れなければ」
まさにこのことを実践なさっている90歳の患者さん。患者さんと呼ぶのも失礼なくらいの前向きでいきいきしてらっしゃいます。
初診時の”サリバテスト”(唾液検査)でリスクは高くなかったものの、習慣になかったきちんとしたフッ素濃度の歯磨剤を、毎回使うことを衛生士から助言しました。お食事の内容は書ききれないほどの豊かさでしたので、食が健康な生活を支えてらっしゃると思います。少しばかり助言したことをきっちり守られ、二回目のサリバテストでは、指摘したところが改善され、「改善したことをとても喜ばれた」と担当衛生士のコメントが残っています。
「いくつになっても、創めることを忘れなければ」
この日野原先生の言葉を地で行く90歳の患者さんに、私達もエールを頂いたようで他の方にも「ご自分のからだは自分で守る」ということをお伝えしながら、日々、私達は皆様の健康を支えるべく、仕事に努めていきたいと思います。
歯科医院の役割は、歯を修復することもありますが、その方の歯を歯茎を守り育て維持する”患者さんとの二人三脚”だと痛感します。
患者さんの意識がかわり、ホームケアでの歯の手入れ(デンタルフロスも上手に使われるようになってきています)・必要なフッ素歯磨剤・食事等、やって下さったことを評価し、ある意味日常生活の応援団かもしれません。
90になられた患者さんの応援団だけでなく、それに続く方々を変わらぬ姿勢で、応援しながら、日常の生活を維持されますよう、今後も努めたいと思います。
心の隅々まで染みる品格ある画風とあります。お人柄しのばれる見事なお作品です。