私も大好きな「病院ラジオ」
見逃すこともあるけれど、見ると本当に心に沁みる・・そして残る
あの心に沁みる声の山根さんが、「病院ラジオ」についてテレビ時評に書いてらしたので、そのままお伝えします
ボーッと見ていて途中で面白さに気づき、もう一度見ようと思っても放送していない。たった一回見ただけなのに心に深く残ってる番組がある。4月29日朝、NHKで放送した「病院ラジオ」
お笑いコンビ、サンドイッチマンの伊達みきお・富澤たけしの二人が、福岡の九州がんセンターに赴き、一日だけのラジオ局を開設する。そこで患者の皆さんから話を聞き、リクエスト曲をかけるというシンプルな番組。何が印象に残っているかというと、患者さんたちが語る「言葉の力」だ
働き盛りで血液のガンが見つかった30代の男性。受験直前、体調に異変が起こったという若い女性、等など。一度は死を覚悟し、生命について深く考え、テレビで語っても良いと腹を据えた人たちだからだろうか。素直な真実の言葉の力を感じた
又彼らのリクエストする曲が、語った内容とピタッと重なり、ああこの人の人生にはこの曲が必要だったのだと納得する。言葉と音楽にしみじみ胸打たれる、まさに「ラジオなテレビ番組」だった
日頃、考え抜いた言葉を連射して観客を爆笑させているサンドの2人は、この日はほとんど語らない。発するのは「みんなそう思うよね」と言ったような、失礼ながら月並みな言葉。彼らはインタビューする人とではなく、ただのトナリビトのように、ひたすら患者さんの言葉を聴いて、深くうけとめている
この「聴く耳」があってこそ、患者さんは心を開いて語ることができたのだろう。一瞬の表情から、どう聴いているのかまで伝わる。それがテレビの怖さでもあり、面白さでもある。 山根基世 アナウンサー