現場の栄養士さんの質問に答えて(栄養と料理より転載)

Q サルコぺニア予防を考えるとき、高齢者のタンパク量は推奨量で充分ですか?

A たんぱく質の推奨量がサルコぺニアやフレイルティ(虚弱)まで予防できる量との

誤解もあるようですが、違います。サルコぺニアの管理・予防の為の値ではありません

推奨量や推定平均必要量は、たんぱく質出納の不足を回避するための値。すなわち体の

中のたんぱく質が減らないようにするために定められた量です。加齢により衰える筋肉

を保ち、維持できる量ではありません。

サルコぺニアの管理・予防のための量はまだよくわかっていませんが、目標量はこれを

念頭に置いています。雑誌栄養と料理の巻末には、一般的なお惣菜の成分値がのってます

ので本屋さんなどで一度目を通して下さい。

私事ですが、昨年93歳の父の介護で経験したこと、又ホームに入院中の義母の食事

でいつも気になっていることがあります。それは、栄養士さんの多くが、紙の上で栄養分

や成分量を見ていて残念ながら実際の摂取を確認ではないということです。それはどうい

うことを言ってるかと言いますと。下図のように「食べた量を見ていない」ということで

す。やってらっしゃる所もあるかもしれませんが、多くはただ下膳されてしまいます。

病院のシステム上のこともありましょうが、栄養士さんは献立の計画はするけれど、その

食事すべてが対象者の口に入ったかどうかを見ていないということです。逆に対象者は、

出されたものをきちんと食べていないこともあり、栄養士が提供する以外の食事や食品を

食べていることさえあるのです。食事摂取基準で示す値は、提供する食事の栄養素量では

なく、「口に入る量」になります。食べている現場を時々観察して口に入る量を勘案し、

献立を作成して頂きたいですね。ただし食事摂取基準は一般向けでないものの食習慣をと

うして健康を守りたいと考える人にとっても、常に根底にある基準となるでしょう。食事

が治療の上でも大切だと見直されていく今日。ツールや環境は徐々に整ってくるでしょ

う。更に病院ではNSTと言う栄養士をチームにいれた診療体制が進んでいく事を、切に願

っています。多職種が同じ土俵で連携できたらかなり貢献になり、何より患者さん方のご

回復が早いしょう。

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