”一年前、困りに困って見えた初めての患者さん。義歯が合わず何度受診しても
思うようにならず、悩まれていました。当院でもお役に立てるか不安でしたが、よくよくお話しを伺い、義歯を作り直すことになりました。初診終わった時受付で、「こんなに良く話を聞いて頂いたことは初めてでした」とおっしゃるのです。当院では普通のことなので特段のことを致した覚えもありません。ただ義歯を作るということは、アクセサリーを作るのではないので、その方のお気持ち・お暮らしぶり・生活習慣など含め折々に伺うことは、必要不可欠と思っています。言い方悪いですが、義歯というのは”リハビリテーション”です。
段階を追って、義歯作る準備しながら、回を重ねるごとに患者さんにも変化が見られ 「入れ歯でも、皆さん定期的に通われるんですね」と気づかれました。待合室で、入れ歯の定期チェックに見える方とご一緒したからです。はたして義歯が出来た日のお喜びようは半端でなく、お家でのお手入れも熱心に聞いて下さり、こんなことしたことなかった、ただ洗浄剤にチャポンじゃダメですねと。その後何回か調整に来て頂き、こんな風にするんですか?とびっくりされたので、召し上がって頂けるようにしないといけないこと。お家でのお口のお手入れ・入れ歯のお手入れ共に大事だということをお話しし、ご理解いただけてうれしかったです。その内、下の入れ歯も作って下さいとのことで、準備開始。ようやく暮れには上下で召し上がれるようになりました。その後残った数本の歯の維持の為お手入れを話しましたが、一回目のケアの日をお忘れになりました。するとお口の中に汚れがついたのを自覚なさって、「入れ歯の具合いいいからって、前の感覚になってこなくていいと思っちゃったけれど、やはり入れ歯の調整とチェックしてもらって、口の中きれいにしないとダメなんですね」と気づかれました。
長く当院にお通いでなく、「何かあったら歯科医院に行けばいい」と思ってらした患者さんに、そうでないことをお伝えするのはとても大変です。特に高齢になられるとなおのこと、習慣を変えるのは難儀なことです。根気よくお話しし、必要なこと・できることをご案内して、快適な日を少しでも多くして差し上げることが、私達の仕事です。
前回,衛生士が残った歯のお手入れを話したところ、「入れ歯は私にとって、ダイアモンドより大事」とおっしゃったとのこと。でも生活習慣には勝てないので、すぐ以前のお手入れしない生活に戻ってしまわれるのです。根気よくおつきあいすることが大事ですね。
”習慣がつくる 心もからだも” は日野原先生の名言です
ご存じなかったことを、出来ることにかえていただき、結果が出ること(お口の中・入れ歯がきれいに保てること)をお教えして、皆さまが快適に過ごせるように試行錯誤の毎日です。先ほど帰られた高齢者の女性。息子と同居なのでお肉も食べますよとのこと。元気にお過ごしいただけているお話し伺えるのは、嬉しいことです。