日本はついに超高齢社会となりました。皆必ず歳をとり、からだも不自由になります。
加齢に伴い筋肉が衰えていく事を「サルコぺニア」と言うことはクリニックブログで
以前、書かせて頂きました。日本語では、筋肉減少症・筋力減少症と訳されます。筋肉は
使わないと衰えます。私達は食べるときに、食物を口の中に運び、噛み砕き。のどへ送り
ます。何気ないいつもの動作ですが、噛んで飲みこむには顔の周りの筋肉や咀嚼する筋力
を使っているのです。これを”嚥下”と言い飲み込むことが困難な状態を、嚥下障害と言い
ます。嚥下障害の原因は病気や栄養不良及び老化などです。それまで普通に食べられてい
た方も、ひとたび誤嚥性肺炎で入院なさると、数日間栄養を点滴に頼り安静にしただけで
上手く食事を飲み込めなくなります。嚥下機能のサルコぺニアです。こうなるとまず
飲み込みの検査をして安全に食べる方法をとります。食べる力を取り戻すまで、「ミキ
サー食」や「ソフト食」お茶や汁ものはとろみをつけて飲み込みやすくし、合わせてリハ
ビリを行います。飲み込む時は、呼吸の調整や痰を確実に出す必要があります。又食前
食後の姿勢も重要です。口の中が汚れていると肺炎の治りも遅く味がわからないなどの問
題が生じるので、歯磨きの仕方や入れ歯の調整も必要です。このように食べるためのリハ
ビリに多くの職種が関わります。これを見て「私も頑張らねば」と言う年配者もいれば、
疲れも出て意欲が落ち、「もういいや」という方も少なくありません。そんなことを見逃
さずご家族と相談して、次の一手、お孫さんの協力など頂く場合もあるようです。「じー
じ早く帰ってきてー!おやつ一緒に食べてお散歩行こうよ」こんな一言で元気になられ嚥
下機能がよくなったりもするようです。当院でも禁煙支援の際、どうにもこうにも固まっ
ちゃって進まなかった時、「おじいちゃん臭いからタバコやめて!」のお孫さんの一言で
禁煙できたことがありました。医療スタッフは患者さんの笑顔を取り戻すため努力します
が、ご家族の協力はより一層効果があると結んでいます。ご家族含めたチーム医療で入院
中からケアできると、退院後のサルコぺニアの予防につながりますね。リハビリテーショ
ン病院におけるこのような取り組みは、私達歯科医院の対応にも大きな示唆となります。
多職種連携に加え、家族をパートナーとして連携が功を奏し、お食事できる状態に
もどれることを願い、ご不自由になる前から認識して準備と備えが必要と感じました。
ご来院の度に患者さん方から伺う、ご家族の暮らしぶり・ご年配者の介護の状況・ご病人
の生活状況など、生きた知識として本当に為になります。日々見聞きする些細なことが
どんなに役立つことでしょう。相互交通を大切にして対応していきたいと思います。