当院では禁煙支援に力を入れており、禁煙に成功された方々からご苦労を伺うと「本当に
やめられてよかったなぁ」とつくづく思うと同時に、「なぜもっと早く教えてくれなかっ
たんですか?」という言葉も頂きます。タバコというとまず肺がんを思い浮かべますが、
タバコは唇ではさんで吸うので、一番の被害はお口の中です。わかっていることなのに言
わない歯科医が多いから伝わりませんし、歯科医でも未だに吸っている方も多いです!実
際喫煙者の方は、歯茎の血流が悪くなっているため、歯茎の色もどす黒いですが、歯周病
が進んでいるのに、歯茎からの出血さえないので気づきません。口臭もあるのにタバコ臭
の方が強いので気づきません。こうしてすべての歯周病の症状を隠してしまうのでタバコ
の被害がないと思いこんでしまいます。ましてや定期的に通っている歯科医院が本当のこ
とを言わないのですから知る由もありません。本当のことを言わないのは、「言うと嫌わ
れて来なくなるから・・」がほとんどです。本当のことを言わず、ただ表面の汚れを取っ
て予防しているというのは、患者さんに真実を伝えておらず、患者さんの歯を残して差し
上げようということにはなりません。
さて「二の字のジンクス」はタバコをやめる際のことなんだそうです。やめようと決心し
ても、二時間たつと吸いたくなる。そこを我慢してやりすごすと今度は二日後に猛烈に吸
いたくなる。気を散らしてそのピンチを切り抜けると次は2週間後で、最後の関門は二か
月後だという。二か月後を無事に通過できれば、やめる大変さが自分の身にしみるせいか
もう大丈夫らしいのです。
禁煙支援を始めた頃、聖路加の禁煙支援チームの方に教えて頂きましたが、喫煙者が禁煙
できないのは「本人の意志が弱いのではないこと」依存症ということを丁寧にお話しして
くださいと教えて頂きました。その頃は、3日・3週間・3か月続けば大丈夫。3年経て
ばもうすっかり卒業ということでしたし、当院の禁煙できた方々もそのような行ったり来
たりを繰り返され、その都度「仕方ないですよね。でも続けましょう。必ず禁煙できます
から」と応援支援しております。伴走が大切です、その間お口の中、特に歯茎の変化に素
早い対応して、一本でも多く歯が残るように衛生士・ドクター・助手・受付までが一体と
なって支援します。好きだったものを辞めるのは大変ですが、タバコは百害あって一利
なしです。周りにも受動喫煙の害は計り知れません。2020年の東京オリンピックに向
けて一番進まないのが禁煙という話もあります。きれいな空気で世界中のお客様をお迎え
したいものです。