豊かな人生「食」にあり

話題の「みをつくし料理帖」でくりかえされるメッセージは「食は人の天な

り」です。口から摂るものだけが人の身体を作る。これが原点です。食べる

ことを大事にすると人生が豊かになります。お忙しい毎日男性も女性も

働く時代になって、出来合いを否定するつもりはありませんが、それだけで

はさみしいですね。たとえ塩にぎりでも、炊き立てご飯を塩で握ったおいし

さ、ご飯粒の香り・甘さ記憶に残ります。又食べ物にはいろんな思い出が潜

でいます。小さい時台所で鰹節を削ってるそのいい匂いに誘われて、つま

んでお行儀悪いと叱られたこと。新鮮なほうれん草が、ゆでるとなお真っ青

になってそれはそれはきれいな濃い緑になること。筍をゆでるときに、糠を

入れるので、より甘いにおいが台所中に広がってわくわくしたこと。ゆであ

がる間、剥いた筍の皮の表面のけばけばを包丁でこそげ、中に梅干を入れて

三角に包み、おしゃぶりして茹で上がるのを待ってたこと。だんだん筍の皮

赤く変わってきたのをチュウチュウ吸って楽しんでいたこと。

毎日仕事場で衛生士さんが、使った都度自分のスケーラーをシャープニング

しますが、そのシャーシャーという音を聞いて、何か思い出すなあと思った

ら、そうそう昔父が包丁を研ぐ音でした。時々母が「お願いできますか?」

言うと、喜んでカステラのような大きな砥石で器用に包丁を研いでいた時

の音に似ています。小さい時の記憶ってよみがえるものですね。とりわけ食

べものに関してですと、ベロで感じた味と共にですから、余計鮮明に覚えて

いるようです。最近患者さんともよくお話ししますが、「味がわからなくな

る時」ってあるんですね。たいがいご心配事があったり、体調崩していたり

のようです。体って不思議ですね。試練が降りかかると、ものの味がしなく

なります。「何かを食べてああ、美味しいとおもったら、もう大丈夫」

”食い力”というそうです。からだのサインを見逃さずに、召し上がってくだ

さい。「食べ物さんありがとう」というサトウサンペイさんの文庫もまた取

りだして読んでみましょう。美味しく食べたら元気わきますね。

そうそう、朝霞一のサツマイモ農家さんが患者さんで、この時期サツマイモ

をお取り寄せします。心こもった生産者による作物は、本当においしくて

ただ蒸かしただけでびっくりする美味しさです。ご年配者は蒸かし芋と

ホットミルクで十分お昼になるんですよとおっしゃいます。もしよかったら

蒸かし芋にオリーブオイルつけてみませんか?と提案したりしています。

皆様もお試しください。

 

 

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