最近、気になっているCMがあります。
何人かの歯医者さん・歯科衛生士さんが患者さんに、「ここ磨けてませんねェ」「ここ汚
れていますよ」と細かに指摘するCM.挙句の果てに上記のような
”歯医者さんにほめられる歯に” というコメントが流れるのです。
ギョッとしました。
私達こんな風に、プレッシャーかけているのかしら?
歯をみがくのは誰の為? 歯医者さんにほめられるため?
へそ曲がりの私は、しばし考えました。予防歯科?なるものが広まって、定期的に
歯科医院を受診する方が増えました。それはそれでいいことですが、何のため?
誰の為?でしょうか・・・。
ほめられないより、専門家にほめられた方が嬉しいけれど、私達、臨床の現場では
CMのように申し上げても、前後の会話があります。例えば、前回ご指摘した○○
よく磨けるようになりましたね、おうちで鏡を見て頑張られたんですね・・・とか。
ここに汚れ残っていますが、どなたでも磨きにくい個所ですよね。ここにはこのような
ブラシを使えば届きますよ・・・とか。例えば頑張ってらっしゃるのに、思うように汚れが
取れない高齢者の方などには、よくやってらっしゃることをお伝えし、入れ歯についてる
汚れ、歯の汚れが「見えていらっしゃらない場合も多い」ので、お気持ち損ねないように
お伝えする様にしています。歯ブラシを握る握力ない方も増えていますし、ペットボトル
のキャップが、あんな簡単なことなのに開けられず難儀する方も多いようです。先日
ブログに書いた「サルコぺニア」「フレイル」の状況かもしれません。それにこのCM
ちょっと引っかかるのは、歯医者さんだってそんな偉そうに言えません。私共専門に仕事
しているものですら、自分のお口の中を完璧にきれいにできる人はそう多くはないはずで
す。こう言うと「なーんだ!」ということになってもいけませんが、そんなに偉そうに言
えるほど、お口の手入れ簡単ではありません。だからこそ専門の私たちが居てお世話さ
せていただくわけですが、CMのように当院では申し上げられません。それより
なぜ磨きにくいか?どうしたら汚れを落とせるか?汚れが残っているとなぜまずいのか?
ご本人のお気持ち察しながら、プレッシャーや嫌にならぬようにお話したいと考えていま
す。もしそうでない時にはどうぞご指摘ください。話し方・説明の仕方を勉強し直し工夫
したいと思います。
歯科の予防の目的は何か!
患者さんの消化器の一部である大切なお口を、生涯にわたって美味しく召し上がれるよう
に整えるお手伝いを「プロとして」して差し上げることです。食べるだけでなく、大きな
お口を開けて口臭などなく大笑いできること、楽しくおしゃべりできること、明瞭なお話
が出来て意思疎通がはかれ、ご高齢者になっても尊厳もって生きていかれることのサポー
ㇳです。ですから当院は、オーラルフィジシアン(内科的歯科医院)として、お一人お一
人の生活場面を伺いながら、ご存じない事をお知らせし、お口のお手入れなど無理のない
生活習慣の改善をご案内して、お役に立ちたいと思っています。お話しすることご案内
するお手入れが少しでも効果をあげて、大切なことは”続けていただくこと”です。今後も
其々の生活状況・身体状況・他科の受診状況・服薬状況などを伺いながら、皆様にお役に立
つ、生活に根ざした中央歯科でありたいと思います。当院でもお役に立てないこともある
かもしれませんが、ご不安・お悩みありましたら遠慮なくお問い合わせください。