年をとるといふのは、年輪や殻が厚くなることでなくて、
水に落ちた物体の、どこまでも拡がって行く波紋に似たものであるといい
吉田健一
人は若いうちは、時を早送りしたり、わずかの空隙も埋めようとしたりして、とにかく今と言う瞬間の外に出たがる。だが人生の黄昏に足を踏み入れると、今と言う瞬間に充足し、その刻々の変化に、生きているという感触を得るようになる。
鷲田清一 折々のことばより