草食のウシはなぜ筋肉質なの?

★科学ページ・栃木県Fさん(90)からの質問
ののちゃんと、麻布台助教先生とのやりとりから抜粋

のの・牧場で牛の乳しぼりを体験した。間近で見たおっきな体、すごい迫力だった。で、思ったんだけど、ウシは草ばっかり食べてるでしょ。それなのに、なんであんなに筋肉もりもりなんだろう

先生・じゃあ、筋肉を作るのに欠かせない栄養成分は何かわかる?

のの・タンパク質!

先生・正解!牛の飼料となる牧草にはいくつか種類があって、タンパク質を多く含むマメ科のものも含まれている。なので、草食だからと言ってたんぱく質が取れてないわけではないよ。とは言え肉食動物のえさに比べたら少ないことは確か

のの・じゃあ、どうしているの?

先生・秘密はまず胃にあるの。ウシは胃を4つ持っていて、第1の胃の中には細菌や真菌と言った微生物が沢山すんでいる。ここで、肉食動物や私達ヒトでは利用できない栄養素を分解して、アミノ酸というたんぱく質の材料に変えてしまうんだよ。そしてそれを栄養源にして、微生物自体が大量に増えるの

のの・へええ

先生・この微生物は第4の胃に運ばれ、ここでドロドロに溶かされて、小腸でアミノ酸などとして吸収される。微生物がウシの筋肉を作る材料になるってわけ。「微生物たんぱく質」と呼ばれてるよ

のの・お肉を食べる代わりに微生物の力を借りて、筋肉の材料を自分のおなかの中でつくっちゃうんだ、ビックリ。

先生・まだあるよ。老廃物となったたんぱく質は、尿素という物質になって血液中を流れるんだけど、ヒトではやがて尿や便として捨てられてしまう。でもウシでは一部が「唾液」になって、タンパク質の材料として再利用されるんだよ。似たようなしくみはウマにもあるとされるけど、ウシよりも分かってにことが多いみたい

のの・人間とは全然違うんだね

先生・それがね、パプアニューギニアという国の高地に、サツマイモが主食で、たんぱく質をとる量は、他と比べてとても少ないのに、筋肉質のたくましい人たちがいるの。これまでの調査で、この地域の人たちの大腸には独特の腸内細菌が住んでいて、ふつうなら廃棄されるはずの成分をアミノ酸に作り替えるなどして、タンパク質を確保していると推測されているんだよ。

のの・おなかの微生物すごい!

先生・微生物の謎がもっとわかれば、健康にも役立ちそうだね。でもまずは、君たちは、お肉も野菜もバランスよく食べてね