暮れに長年お通いのご夫妻がわざわざご挨拶に見えました。お忙しい中を・・。
思い出せば、20年も前でしょうか?
当院に通われ始めてすぐの頃、ドイツに駐在が決まり赴任されました。
程なくしてお子さんの話題も出来、途中で一時帰国の際にはメンテナンスに寄られ、ドイツの暮らしぶりを伺って楽しみでもありました。
小さいお子さんを連れてレストランに食事に行った時、はしゃぐお子さん見た隣のテーブルのドイツ人が、静かに「お行儀良くしないといけない事を子供に話しかけて下さった」と。「いやーっ、有難いと思いましたよ」と。この尾藩士を聞いて、日本も昔はそうだったなぁ~と感じ入ったものでした。
また暫くして、国際電話が受付に入りました!
ドイツから! 赴任中の患者さんから・・。
「もうすぐ帰国しますが、子供がこちらの歯医者さんにかかったら、カリエスリスクが高いからとのご指摘で、帰国したらリスク検査をするようにと言われました」。奥富先生のところで出来ますか?とのことでした。
1998年から山形県酒田市の熊谷崇先生の研究会に入れて頂き、「虫歯も歯周病も感染症である」との勉強続け、診療室も治療優先から「予防」へとシフトし始めたところで、カリエスリスクを調べる「唾液検査」をしていたので、ドイツからのお電話にも「帰国したら唾液検査をしてカリエスリスク調べられますよ!」と申し上げましたら、後日ドイツで診て頂いた先生が「どれはよかった、日本でもやってくれるようになったんだね」と言われた由。
逆に、当院としては、既にドイツでは一般的にカリエスリスクを調べ、むやみやたらに削らないのだなぁ~と感じ入り、当時未だ少なかった予防への取り組みが「やるべきこと」として確信を持った覚えがあります。
はたしてこお子さん方は帰国後すぐに来院され、サリバテスト(唾液によるカリエスリスク検査)をし、当時はフィルムでしたが、重いニコンのカメラで口腔内写真を撮って患者さん・親御さんにお見せし、当院と患者さん側と一緒になって、お口のケアが始まりました。朝霞にお住まいではなかったですが、熱心に通われ、途中進学などで中断もありましたが、大きな治療もなく口腔内を保っています。
あの時、ドイツの歯科医の先生が予防の観点からご指摘下さったことで、二人のカリエスフリーの成人が誕生です。
予防予防とただ言わず、カリエス・歯周病の検査をし口腔内写真を折にふれ撮って、患者さんも画像や数値などで確認しながら、医療者側と患者さんとで伴走するのが歯科の予防と心得ました。
この意味で、20年も前に、ドイツの先生からのご指摘により、日本以外では歯科のとらえ方が違うことを身をもって知って、医院としての予防の取り組みに一段と拍車がかかり、歯科衛生士だけでなく、歯科助手・受付スタッフみんなで、患者さんと共に学びながらの予防体制に繋がりました。
今では当たり前の歯科の予防も、確かな裏付けと双方の理解があってこそ進むものだと痛感しています。その意味で患者さん方に教えて頂いたことが、宝物のように感じます。