世界的活躍を続ける河瀨直美監督の映画。見逃した・・と思っていたら先日BSで放送でした。夕食おえて絶対見るぞ!と段取りよく家事を片付け、テレビに陣取りました。
元ハンセン病患者さんへの差別を扱いながら、”生きる意味”を問いかけたヒューマンな映画と聞いていたからです。又当院のメンテナンス患者さんのお一人が、長年音楽のボランティアをこのハンセン病の園に出向いてなさっているということもあって、是非に見たいと思っていました。
この映画には主役の樹木希林さんの孫である、内田伽羅さんが母子家庭の娘・中学生を演じており、樹木希林と内田裕也さんの娘のお子さんですから、ふとした表情が樹木希林やお嬢さん・お婿さんである男優さんを彷彿とさせました。
ドラ焼き屋のやとわれ店長役の永瀬正敏。それに内田伽羅さんそして樹木希林さん。脇が
市原悦子さんですから凄いことです。
抒情的な音楽とざわざわ風の音が聞こえそうな美しい映像。その中で樹木希林をはじめ
穏やかな演技の中で心のふるえを映し出していました。
人が生きるということは・・。吉凶はあざなえる縄の如しと言われるように、悲しみと喜びが裏表になったこの世界で、「人は生きているだけで意味がある」とつくづくそして深く感じいりました。
見落とした方に、今一度再放送を望みます。
私ももう一度みたい・・。
また、「あん」一つ作り上げるまで、小豆の扱い、ただ煮るでなく、ここに豆が届くまでの道のり・過程に感謝し慈しむ樹木希林さんの演技に、あんこをもっと味わっていただかなくてはとつくづくに思いました。
ボランティアで音楽を提供されている患者さんにお伝えしたところ、やはりこの施設に出向いておられました、長きにわたりお偉いですね・・と申しあげたら、「いえいえ、私のオルガンを楽しみにして下さって、娘が来たように迎えて下さるんですよ。こちらがいつも感謝なんです」とのことでした。この患者さんは小さいお孫さんをこのハンセン病患者さんの施設にご一緒することもあるそうで「孫の頭をなぜて下さるの・・」と何気に仰る穏やかな笑顔がなぜか樹木希林さんのゆったり豊かで穏やかな表情に通じるようです。
いろいろな偏見ってありますが、深く深く考えさせられる映画でした。河瀨直美監督は丁寧に描かれるので、心の奥に沁み、響きます。そして残りますね。ぜひチャンスがあったら皆さまもご覧ください。