フレイル
開業30年たつと、お通いの患者さん方も歳を重ねられながらメンテナンスに通われるようになりました。それでも2階にある当院にいらっしゃれるのですから、お元気でらっしゃいます。自宅でのお手入れもよろしく、定期メンテナンスも欠かさないのでお歳にしてはお元気な方ばかりです。お口の手入れが功を奏していると思われうれしいです。
歳重ね丸くなるより固くなる
診断は昔過労で今加齢
デパ地下にあること知ったグルメ旅
全国老人福祉施設協議会の「還暦川柳」の収録作です
年齢とともに衰え行くのはいかんともしがたい状態、歳をとり、筋力や活力が低下した状態を「フレイル」というそうです。もろさ・はかなさ・弱さを意味するとか。いっとき言われた「脆弱化」をわかりやすくいったものでしょうか?それにしても悲しくなる言葉ばかりです・・。
日本老年医学会は「健康と病気の中間的な段階をフレイルと呼ぶ」ことにし、これをそのまま放っておくと、介護が必要になる状態で、「疲れやすくなる」「歩くのが遅くなる」「体重が減る」といった要件が三つ重なると認定されるそうです。ただ元に戻らないわけでなく、早めに気づいて栄養とったり、ストレッチなどの運動したりして回復も可能とのこと。フレイルという言葉によって予防意識が高まって、要介護のお年寄りが減ることを目指すというものの、広まりそうもないですねこの言葉。馴染みなさ過ぎ、いかにもお役所の発想かな・・。 英語のスペルからとったことはわかりますが・・。
ともかく予防に効果的なもののひとつはタンパク質ですが、お肉でなくとも美味しくよく噛めて食べられれば、よく吸収されからだは喜び元気でいられます。工夫と心の持ちようも大事ですね。いずれにしても、アンテナ広く高く張って、いいと思うことは積極的にやって行く、好奇心というか気持ちの若々しさを保つことではないでしょうか?
昔アルフォンス・デーケンさんに頂いた言葉「にもかかわらず笑う」と同じように「にもかかわらず、前を向いてあきらめない」気持ちを維持することでしょうか?人との接触もなくなると家に閉じこもりがちですので、隣近所で声かけあう、こんな些細なことが大事かもしれません。一番悲惨で悲しいことは「孤独」と感じることです。お声かけ合って、元気の交換しましょう。「いいお天気ですね」「昨日はスゴイ雨でしたね」「紫陽花がきれいですね」「新しいスーパーが出来ましたよ」「お足元気をつけて」「帽子よくお似合いですね」。ちょっとした一言が元気につながるかもしれませんね。
サルコぺニアってどんな病気
「サルコぺニア」 この言葉を最近よく聞くようになりました。高齢化が進む中で、要介護や寝たきりの要因として今もっとも注目されています。サルコぺニアとはギリシャ語で「肉」「筋肉」を表す sarco と「減少」「消失」を意味する peniaを組み合わせた「筋肉の減少」という意味だそうです。
広義のサルコぺニアは加齢によるものなので65歳以上の4〜5人に一人、80歳以上では2人に一人がサルコぺニアになっているという報告があるそうです。サルコぺニアは病気一歩手前の状態、結構深刻な健康問題とされ、寝たきりにつながるといわれます。
以前このブログで 「フレイル」(虚弱)という言葉をご紹介しました。今はどうにか日常生活を行えている、いわば”病気の一歩手前”の状態を言います。要介護状態へは、フレイルを経て進むことが多いと考えられています。このようにサルコぺニアになると体が動きにくくなり活動量が減ります。活動量が減ると食欲が低下し、低栄養となります。
低栄養とは健康な体を維持するために必要な栄養(エネルギーやたんぱく質)が不足している状態のこと。低栄養になるとサルコぺニアがさらに進行します。つまりサルコぺニアがサルコぺニアを加速させるという悪循環を引き起こしてしまうらしいのです。以前、ライフプランニングセンターの道場先生に、脆弱化のスパイラルと教えていただきました。そのことに似ています。
私事ですが、93歳で倒れ幸運にも復活した父が全くそのとうりです。関心持ってこのフレイルとサルコぺニア勉強しながらお伝えしていこうと思います。
サルコぺニア2
前回の続きです。
高齢化が進む中で、要介護や寝たきりの原因として今もっとも注目されている”サルコぺニア”は加齢などによる筋肉量減少で誰にでも起こりうる症状です。特に足の筋肉が減少するとちょっとした段差にもつまずき、転倒しやすくなります。
60歳代になると20歳の時と比べて一般的に腕の筋肉量は10〜15%。足の筋肉ん量は40%も落ちるそうです。サルコぺニアの人は」今はどうにか日常生活を行えている、いわば”病気の一歩手前”の状態なのです。この状態をフレイル(虚弱)と言います。この段階で、あるいはその前に筋肉トレーニングや栄養改善を行えば通常の生活に戻ることが可能になります。一般にはロコもの方が言葉としての認知度は高いのですが、ロコモの方はサルコぺニアになっている可能性が高いと考えられます。
又筋肉の減少というと、痩せた人を思い浮かべますが、サルコぺニア肥満も話題です。筋肉量の減少に加えて志望が蓄積してイル状態です。サルコぺニアに該当し、なお且つBMI25以上の人を指します。小太りといった感じですが、このサルコぺニア肥満になると、糖尿病のリスク19倍、女性は高血圧のリスク約2倍になるという報告があります。
ところがサルコぺニアはまだ「保険病名」として認められておらず、検査を行っている医療機関はほとんどありません。食事指導も低栄養を引き起こさないような「リハ栄養」という新たな考えの指導が必要です。
・筋肉量のチェックには
①握力計を使う
②横断歩道を青信号で渡り切れるかどうか
③指輪っかテスト(簡易な筋肉量テスト)があります。両手の親指と人差し指で、ふくらはぎのもっとも太い部分を囲みます。
指がくっつかない人 サルコぺニアの可能性低い
指がぴったりくっつく サルコぺニアの可能性あり
指が重なってしまう サルコぺニアの可能性高い だそうです。やってみて下さい
・サルコぺニアの予防・改善
①筋肉トレーニング・・と言ってもお家で出来そうです
・ハーフスクワット 椅子に座って123数え立ち上がって123ゆっくり元に戻る
・爪先立ち 腰巾に足を開き背筋伸ばして123でかかとをあげ、123で元に戻る
・ももあげ 椅子に座り背筋を伸ばし椅子の座面を両手でツ゚k差観123と片足の膝をゆっくりと引き上げる。123と声出しながら元に戻る
②筋肉の材料となるたんぱく質の摂取です。肉・魚・乳製品・大豆製品です
③禁煙です。 詳しいメカニズムはまだ完全ではありませんが。喫煙者はサルコぺニアに
なりやすいとという研究結果が多く報告されています
いずれにしても生活の質を落とさないためにも「病気になる前の元気な状態に戻る」ため
にも、過度の安静や低栄養は好ましくありません。この点の改善の為、管理栄養士の奮起
が望まれます。医師・歯科医師・看護師・管理栄養士・歯科衛生士・理学療法士・言語療法士等
皆さんとの連携が望まれるところです。
まだ自力で戻れる崖っぷち状態の悪循環 それがフレイル
寝たきりになりたい人なんていないと思います。そうなってしまう確率を、自力で下げる方法があることご存じですか?
frailtyこのコーナーで何度も取り上げているフレイル。ひとたびフレイルの状態になると図のようにどんどん衰えていく悪循環になり、容易なきっかけで取り返しのつかないことになります。
ブログで何度もご紹介済みですが図の真ん中にある言葉。サルコぺニア。「筋肉量がへって筋力か身体機能が落ちている状態」を指し”フレイルの中核を占める状態”です。悪循環を注意深く見て頂くと、活動度の低下と食欲・摂取量の低下があることに気づくでしょう。「運動しない・栄養的にも十分な食事をしない」ということだそうです。この循環は図の方向に回るだけでなく、ご本人の努力次第では逆方向にまわすことも十分可能だそうです。
と言うのはどんなに高齢であっても、適切に運動すれば筋肉は増え、筋力も上がるそうです。筋肉の材料、すなわち食事が欠乏しているとせっかくの運動が無駄どころか毒になる可能性もあるようです。お食事が大切です。
ここでいう「運動」とは?特別なものでなく誰でも使える運動メニューなのです。きわめてシンプル。毎日のウォーキングで、歩数を一か月に一割ずつ増やしていく、これだけでいいそうです。騙されたと思って、やってみてください。もし上限を決めなければ、一年後には今の約3倍歩いている計算になるそうです。下記のもう一つの表をご覧下さい。
※英語ではfrailty(フレイルティ)ですが、日本老年医学会では「フレイル」と
呼ぶことを提唱しています。
要介護の原因疾患 (上位5つ 平成25年国民生活基礎調査より)
1脳卒中 21・7%
2認知症 21・4%
3高齢による衰弱 12・6%
4転倒・骨折 10・9%
5関節疾患 6・8%→このうち3・4・5は「フレイル」から容易に移行します。
こんな言い方もなんですが、”手厚い介護は、助けてもらう瞬間は嬉しいが、虚弱の人が自立にもどるチャンスを奪い、虚弱や要介護の期間を長期化する。介護に頼り過ぎない生活を目指せば、ピンピンころり型で老いて行く可能性が高いという福祉からの見方もある事を付記致します。
よく言われる”お大事に症候群”かもしれません。理論的にはわかりますが、独居のお年寄りもいらっしゃるわけで、難しい問題を含すんでいますが、日常のちょっとしたことで、身体能力を維持可能だとわかってきたということです。やるかやらないか。少しでも早く気づくか放っておくかで、ずいぶん違ってくる事がわかってきたようなので、お伝えしました。(以下の図は順天堂医院院内ニュースより引用)
①オーラル・フレイルを予防して健康長寿を目指しましょう!
昨日届いた、日歯広報(所属する日本歯科医師会広報)に上記件名「オーラル・フレイル」の文字が。先日3月26日開催の理事会で新たな考えとして示された・・とあり本当にうれしくなりました。
当ブログでも、医科からの発信を受けて、今年初めから「フレイル」「サルコぺニア」について何度か書かせて頂きましたので、いずれ歯科でも動きがあると目論んでおりました
良かったぁ!
からだの健康寿命を言う時に、まずお口から!と思っていたので、これで医科との連携が少しでも進めば嬉しいですね。そしてもっと国民に向かってこのことが広く伝わるようにしないとなりません。その時になってから慌てても、なかなか難しいです。
今は小さい時、子供のころから「食べること」「からだを作る食の事」を伝えなければならないとつくづく思っているので、あちこちでこのような動き歓迎です。まず、歯科医院の多くが治療だけでなく、お口の役割をもっともっと伝えて、「いい人生につながるお口の大切さ」を担って行ければと思います。日歯のこの提言大賛成!
フレイル予防 歯の噛み合わせ大切
歯科医師会のオーラルフレイル提案もあり、心強くなってきました。当ブログでは、数回にわたりフレイル・サルコぺニアをお伝えしていますが、もう一度あらためて書きます。
高齢になり軽い病気やケガがきっかけとなって、急激に体力が衰え、介護が必要になったりします。要介護と健康の中間にある状態を、2014年に日本老年医学会の提言によれば、75歳以上の多くはこの状態にあるとしています。
加齢と共に筋力が衰えた状態を「サルコぺニア」とよび、これに認知機能障害やうつなどの心の問題、一人暮らし、経済的問題などが加わると「フレイルになりやすい」と言われます。日本には統一基準がまだないのですが、米国老年医学会の評価法「フレイル」と呼び
・一年で4キロ以上体重が減った
・疲れやすくなった
・握力の低下
・歩行速度が秒速1メートル未満
・身体の活動性の低下
の5つのうち3つに該当するとフレイルとしています
日本では国立長寿医療研究センターの調査解析によれば、熟睡感がなく目覚めの悪い人・奥歯で噛めない人・地域活動しない人はそうでない人に比べ、フレイルになりやすかったとのことです。
しかし適切な対策さえとれば健康な状態に戻る可能性はあり、寝たきりになるのを遅らせることを知ってほしいと伝えています。
そのほか大事なことは大きな大げさな運動でなくとも
・横になったままグーチョキパーと足の指を動かしたり
・背伸びをしたり
・家事や歯みがきの際、かかとをあげたり下したり・・
・三度の食事でタンパク質をしっかりとること そして
★奥歯でしっかり噛めるようお口の中を整えておくことです
奥歯でかみ合わせが出来ないと、咀嚼に必要な筋肉が減っていってしまい、軟らかいもの・食べやすいものばかり食べていると、口の周りの筋肉が衰えて、本当に食べられなくなります。無理のない範囲で、シャキシャキ・サクサクと言った食感の生野菜なども召し上がると、意外と食欲出たり、楽しいものです。
手のひらを頬にあて、奥歯で噛み合わせ、頬の筋肉が動くかどうか、確かめて下さい。お口の周りの筋肉が働いてくれるかどうか、噛むだけでなくゴックンと飲み込む時にも筋肉が必要です。
高齢者の中には、びっくりするほどお元気な方もおられ、そのような方には、年配者が集まる場などで、指導役を任せる取組みも始まっているようです。助け助けられの意義を最大限生かすには、一人でも多くの方が新しい知識を持ち、気づき合うことだと思います。
誰もが迎える「老い」。みじめな思いが少しでもヘリ、生活の質が少しでも維持できて、「ありがとう・おかげさま が行き交う世の中」になるといいですね。理想かもしれませんが、やる意味はあるようです。ちょっとずつでも・・。
②オーラル・フレイルを予防して、健康長寿を目指しましょう(日本歯科医師会)
先日このブログで、日本歯科医師会のオーラルフレイルへの取り組みをご案内しました。さらにマスメディアなどを通じて、多くの国民に伝えていくことになったようです。
歯周病の治療や歯を失ったときの治療を受けるのはもちろんのこと、「滑舌の衰え」「食べこぼし」「わずかのむせ」「噛めない食品が増える」などのささいな口腔機能の低下を軽視しないことが大切です。このわずかな口の衰えは、身体の衰えと大きくかかわっています。
日本歯科医師会は、「8020運動」に加え、ここにオーラル・フレイルの予防という新たな考え方を示し、健康長寿をサポートしてまいります・・とあります。
これからもこのブログで、お口の中に定まらず、皆さんのおからだ全体にお役に立つ情報をご案内していきたいと思います。
今日は本当に春らしい暑いくらいの陽気となりました。まだ4月ですが、紫外線は相当強いようです。外に出るときには、サングラス・帽子などで予防いただき、いつでも取れる水分も携帯ください。
そうそう近所の内科の先生から伺ったことですが、「モーラステープ」というパップ剤張った方が、日光を浴びて湿疹出る方が散見されてるようです。日光疹の既往なくともご注意ください。