私の実家の庭に、帰省すると時々妙な来訪者がいます。ヤモリです。形はトカゲのようで
すから、ご存じない方は「キャッ」と後ずさりされるに違いありません。まっ気持ち悪い
と言われればそれまでですが、実家の庭で見るそれは10センチ弱の小さなヤモリで、
可愛いというと語弊がありますが、庭にいつも居てくれるものと思って”家族”までは
いいませんが、帰れば居るものと思っています。「家守」とも表記しますが、「守宮」と
書いて「ヤモリ」と読むそうです。赤ちゃんの世話をする”子守”、神仏の守護を与える
”お守り”などという使い方も日本独自のもの。中国では「宮」は「家」「住居」の意味が
あって、ヤモリは家の天井や壁に張り付いて、害虫を食べるので「家の守り神」とも
言われるようです。よく見ると結構ユーモラスな姿で、93になる父は、又居たよ!と
診療室の外カベに絡まったツタの隙間に見つけて眺めています。ツタの下は、小さな
池ですので、水をのみたかったのでしょう。ギボウシの葉が水際にサワサワ揺れていて
ヤモリに微笑んでいるようでした。日本の古い家のちょっとした一こまでした。