赤ちゃんから大人まで、また人間以外の多くの動物や昆虫も甘いものが大好きです。甘い
ものに魅了されるのは、生き物としての本能かもしれません。動物にとってエネルギー源
になるものの中で、脳ですぐ使うことができるのがブドウ糖。そのブドウ糖をすぐに作れ
るのが、ブドウ糖と果糖が結合した砂糖です。エネルギーとなる糖をとると脳はすぐさま
反応し、たとえば泣いていた赤ちゃんが泣きやんだりします。「エネルギー源になる甘い
ものがほしい」と脳が特に欲する典型的な例は、おなかがぺこぺこの時、そしてくたくた
に疲れているときなどでしょう。エネルギーが枯渇しているときの甘いものは脳を喜ばせ
、時には体を奮い立たせる効果をもたらします。私たちは普段、何もしなくとも1分間に
1Kcal程度のエネルギーを必要とします。砂糖は1g役4kcalですから、10gで40分
程は持つ計算になります。おなかがすいていて力が出ない、疲れ切っていて何も考えられ
ないというときに、口にした少量の甘いものがエネルギーになるということは充分あり得
ることです。
しかし「脳が喜ぶ、体が元気になる」といっても、とりすぎればそれは害になります。
甘いものを食べ過ぎ、「必要なエネルギーを補う」というレベルを超えると、それは
体内で脂肪として蓄えられるからです。また甘いもののおいしさにおぼれ、脳がその快感
を覚えると、それ以外のものは欲しくなくなってしまう危険も見逃せません。甘いものを
適切に楽しむのはかまいません。でも食べ過ぎると栄養バランスが悪くなることを忘れず
にいてください。食べるなら食事の最後に少量を味わい、それに満足することが、甘いも
のの魅力におぼれないための秘訣かもしれません。
★当院でもお話ししておりますが、食事の後にデザートとして甘いものをとる方法は、虫
歯を予防するためにもぜひおすすめしたい方法です。甘いものがほしいからとちょくちょ
く食べていると、そのつど歯の表面は溶けますので歯にもよくありません。今はやりの
「オフィイスグリコ」というシステムは、会社にいていつでも小腹がすいたらお菓子を口
にできるシステムで好評のようですが、香川先生のお話にあるように、いつでもちょこち
ょこ食べていると、肝心のお食事をきちんと取らなくなるということにもなりかねないの
で、甘いものに限らずちょこちょこ食いはご注意下さい。以上わかっていてもやめられな
い甘いものの体への仕組みをお伝えしました。