日曜美術館は、田舎に帰ったりしていると時間までに帰れない事も多いのですが、出来る
限り外さず見るようにしています。最近、38歳の俳優 井浦新さんが司会を担うことに
なり、その若々しい感性と鋭い目は、自分の若い頃を思い出しながらも、自由な今の時代
の若者のみずみずしい感覚に時々ドキッとさせられます。佇まいのステキな井浦さんです
が、ご自身も写真の腕もなかなかです。若いということは、こだわりも先入観もなく、ひ
たすら感じたままをコメントするので、新鮮です
ただ掛け軸を拝見するときには、立ったままでなく、しゃがんで拝見してほしいなあ!と
も思ったりしますが、回を重ねるごとに感じ取って、日本人としてさりげなく作法を身に
つけていかれたら・・と期待しています。番組だからこそ国宝級の名品拝見するわけですし
そうでなくとも、「のびのび育った若者が立ったまま」というのは、エレガントではあり
ません。無作法に見えないように、日本の礼儀作法はふまえた方がすてきです。
お伝えしたかったのはこのことでなく、6月8日放送の「虎の図」です。息をのみました
と同時にあまりの大胆な迫力に笑ってしまいました。まるで、大阪万博の太陽の塔の
岡本太郎みたい。
その虎の絵は、串本応挙芦雪館(無量庵)というお寺に襖絵として保存されており、芦雪
という人は丸山応挙の弟子だそうです。その龍の絵もすごいですが、襖6面にかかれたの
びのびした虎の、獲物を見据えるような姿と目。背後になびく竹と岩の動静。豪快極める
のに、なぜか人の心を和ませるようなユーモア。簡単には実物拝見できないようですが
TV画面にくぎ付けになりました。アップになるとその繊細な筆のタッチ。射るような目
なのに撫でたくなるような毛並と、後ずさりしたくなるような迫力。何とも魅力的でした
ロイヤルアカデミーアーツの為にロンドンに渡った時には、英国の有名なセーターメーカ
ー(ひょっとしていつかブログに載せたプリングル?)が限定50着のカシミヤセーター
のデザインになったんだそうです。このように海外の方も魅了し、日本の国指定重要文化
財だそうです。本土最南端の地、串本町の無量庵、虎に会いに行きたくなりました。
昔の美術作品・工芸品など拝見するとそのころの日本人って、本当にあか抜けてカッコ
いい!といつも思います。8日の虎の襖絵、近来まれにみる心に残る絵でした。あまりに
ステキで日本人として誇らしくもありました。