高齢者の「孤食」は本当にダメなのか?川口雅裕

「孤独のグルメ」に学ぶ孤独じゃない孤食へのヒント

一考に値する・・TV東京の「孤独のグルメ」
久住昌之さん原作漫画のテレビ化。主人公は高齢者ではないが、中年独身の井の頭五郎。一人で食事するシンプルな内容で、孤食の寂しさどころか、食事そのものが喜びにあふれている。「自分の楽しみを奪わないで欲しい」と言ったくらいの決意が見えるが、決して彼は人とうまくやっていけない人ではない。
主人公の松重豊さんの丁寧に感情を表現するナレーションに秘密はあるが、一人だからと言って孤独ではない。孤独の中に楽しみがある。

将棋に「棋は対話なり」と言う言葉があるそうな、黙って対局者は将棋を指しているが、相手が指した手の意味を読みとり、その手に対する自分の意見を返すという繰り返しであり、それは対話と同じである。黙っているからと言って孤独ではないし、頭の中に沢山のことばや情報が流れ、ドキドキワクワクが生じていると。

孤食も、店や料理人、出された食事の味、見た目と対話してる場合もある・・とこの川口雅裕さんは言う。

問題は孤食そのものでなく、孤食によるマンネリと思う。マンネリを避けるためには、食べる物や食べる時間、一人で食べるのか誰かと食べるのか?自分で決められる環境にあることが重要だということかもしれない。
(自立して暮らせなければ、無理な相談ではあるが・・)

老人ホームに入居している人が、不満な点としてあげる「食」は、好みや品数が原因でなく、毎日同じ時間に皆が集まって皆で同じようなものを食べるという、マンネリに原因があると感じる。フムフム・・現在ホーム入居中の母も同じようなことをつぶやいている・・。しんどいんだな?と。

高齢者になると食事は大きな楽しみの要素だが、それは美味しいかどうかではなく、「自分で食べたいときに、食べたいものを好きな環境で食べられる」かどうかではないかと考えている・・と老いの工学研究所・川口雅裕さんは言っておられる。
う~ん、それはそうなんだけど、物理的にすごく難しい問題。ホームに入れば好きな時間に食べることは不可能だし・・、たとえ在宅でも、独居でそれが高齢者が調理など安全確保できた上での、自分で好きに・・ならいいけれど。ア~ァ堂々巡り・・。

それが危険になって来るからホームに入居になるわけで・・。いつまでも結論の出ない話、何を確保して、何に目をつぶらねばならないのか・・。歳とることは本当にむずかしい・・。

そんな時に新しい老人ホームの案内を見た。医療機関が経営するから何の心配もいらないと大きく言っている・・。そうかなァ~。
それも大事だけど、長年生きてきたそれぞれの高齢者が、ある程度の自由度を持って生活する、特にご飯(食事)に関して、一人で好き~に出来るとこってあるんだろうか?
パンフレットに毎日フランス料理!?みたいに書いてあるけど、それはしんどいなぁ~。
自分の調子によって、気分によって、昆布とたらこ、美味しい漬物だけで炊き立てご飯食べたい時ってありませんか・・?しかも一人で!
そんなホームあるわけないですよね!?

こんなことつぶやいていたら、TVであのアグネスチャンが老人ホーム入居を考えているとの見出し!もう67歳ですって、全然そうは見えな~い!
初めて出産した時、赤ちゃんを仕事場に連れてって「アグネス論争」と言われながらも、ご自分の主張をきちんと通し子ども三人育て上げ、ご自分も大学院に入り、聞いてみれば一本筋の通った自分の意見をちゃんと持った、生活者としての視点を持った自立した女性、何より若々しい。
アメリカの破格の老人ホームを検討してるみたいだけれど、このような高齢者?が増えていくんでしょうか?

これから、高齢者の孤食?ではない、自由度を持った高齢者の食事への関心は高まっていくに違いない・・変わっていくかな?と期待を込めて、いろいろ思うことの多かった記事でした・・。