以下、週刊朝日編集長・文筆家川村二郎さんのコメントです。(随分前のものですが、今読むと私にはすんなり入ります・・)
人生は音楽で言うとクレッシェンド型と、デクレッシェンド型の二つに分けることが出来る。前者が徐々に大きくなる末広がりなら、後者は段々に小さくなってフェイドアウトする。どちらがいいかは、言うまでもない。二つに分けるものは何かと聞かれれば、好奇心と探求心ではないかと答える。
国語学者の大野晋さんや、日本の美のお目付け役とも言うべき白洲正子さんといった方々の生き方を間近で見ることが出来た。こうした方々に共通するのは、亡くなるまで旺盛な好奇心と探求心を持ち続けた、子供ような心を失わなかった。その姿を見て、末広がりの人生を送るためには、好奇心と探求心がカギらしいと考えるようになった。二つをまとめて、知識欲と言ってもよいかもしれない。
知識欲を満たすうえで最も身近にある方法は、読書である。若いころどなたにだったか?「すべての本(もと)は、本にありきだよ」と言われたことがある。年とるにつれ、この言葉の持つ意味と重さを痛感し、もっと読んでおけばよかった!と思わない日はない・・とかつて日野原先生にお会いするたび申し上げたら「川村さん、人生、何を始めるにも遅すぎるということはありません」と言われた。
昔の物を読みかえしていると、温故知新の大切さに気づかされる。本は知的財産の金庫である。
いい年をして知らなかったことを知った時、知的好奇心が満たされた時の喜びは、電車ですぐ座れた時の嬉しさなどとは、比べ物にならない。
わかって嬉しかったことは人に話す。そういう人の周りには、人が集まる。これぞクレッシェンドの人生でしょうと川村氏は述べておられ、今の私はストンと腑に落ちた次第。
さて、やってみようかしら・・。