若い方には知らない方もいるかもですが、「オーケストラがやって来た」の赤いジャケットに髭、黒ぶち眼鏡も印象的な山本直純さん。先日テレビで懐かしい映像も沢山でて、食い入るように見ました。
世界的指揮者の小澤征爾さんと親友で、直純さんは「僕が音楽の底辺作るから、征爾お前は世界に出て、トップを目指せ!」とヨーロッパ修行に送り出し、直純さんは日本でバライティに出たり、「大きいことはいいことだ、森永エールチョコレート!」のCMにでて、気球に乗って地上の合唱を指揮したりして人気を博しました。その後一万人の第九を実現し、新日本フィルを立ち上げ、凱旋した小澤征爾との約束を果たしました。その後のお二人の活躍はご存じの通りです。
番組には小澤と共に一世を風靡した岩城宏之さんや、ジャンルを越えてさだまさしさんが尊敬と共に交流を語りました。69歳で惜しまれつつ亡くなった、山本直純さんの長男・次男それぞれが後を継いで音楽界でご活躍。
生前ご次男がある指揮をなさった際、直純さんは「どうだった?」と尋ねご次男は「うん、うまくいったと思う」と答えたところ、「そうじゃない、聴衆はどうだったんだ?と聞いてるんだよ」と仰ったとか。
評論家俵孝太郎さんは「直純は今でも2つに生きている。1つは寅さんに、もう1つは有名な”一年生になったぁら!”の歌にだよ。あの歌には、”友達たくさん出来たかな”と歌詞が続くでしょう。これこそ直純ですよ」と彼の人となりを語っていました。
素晴らしいご活躍の裏に、やんちゃなオフタイムもあり、だからこその厚みのある交流なさった人々が沢山登場し、こう言う方々にお目にかかりたいなぁ~と食い入るように最後まで拝見しました。
今のように便利ではない時代でしたが、一つ一つ意味があり、一人一人意味があり、愛すべき方々が沢山いらしたなぁとつくづく思い、その時を共有させて頂いたことに、なぜか感謝した番組でした。何年も人の心に残る方に、テレビを通してでもお目にかかれたのは幸せでした。