喫煙に安全なレベルは存在しない

メディカル トリビューン2・15号より抜粋

・リスク軽減は期待ほどでない
一日1本の喫煙でも心血管リスク大(141件のコホート研究メタ解析)

 一日1本の喫煙による冠動脈疾患・脳卒中リスクは予想以上に大きく、一日20本の喫煙によって増加するリスクの半分に及び、心血管疾患において安全なレベルの喫煙は存在しないことが示された。141件のコホート研究のメタ解析結果を、英国のAllan Hackshow氏がBMJ(2018;360:j5855)に報告した。

今回の研究から、一日1~5本程度の喫煙の冠動脈疾患及び脳卒中に対するリスクは、多くの医療従事者や喫煙者が想定するよりも実質的に高いことがわかった。これは、心疾患を引きこさない安全な喫煙は存在しないことを明示している。「冠動脈疾患や脳卒中のリスクを優位に低減するためには、喫煙本数を減らすのではなく、完全な禁煙を目指すべきである」と強調している。

これを受けて 熊本市民病院主席診療部長・橋本神経内科部長は

多くの喫煙者は、軽いタバコにかえる、喫煙本数を減らすことで、たばこの害を減らせると信じているようだが、期待するほどのリスク軽減にはならないことが確実になった。

さらに、電子タバコは喫煙率を低下させ、より安全であると銘打ったタバコ製品のマーケティング手法は、若い世代をニコチン依存症に導く可能性が高いと警鐘をならす。

加熱式タバコが相次いで発売される日本は、「加熱式タバコの実験場となっている」と考えられている。米国では米食品医薬品局(FDA)が加熱式タバコを許可しておらず、IQOSが紙巻きたばこ喫煙より害が少ないというフィリップモリスの主張を否定した。

正しい禁煙法
➀期日を決めて一気に禁煙を実行し、完全に禁煙する
②ある程度の禁断症状(ニコチン離脱症状)を覚悟する
➂吸いやすい「行動」をやめる
➃吸いやすい「環境」を作らない
➄吸いたくなったら「代わりの行動」をとる
⑥自力でできない場合は禁煙外来の指導を受ける

禁煙でやってはいけないこと
➀段々と減らす
②軽いタバコにかえる
➂加熱式タバコ・電子タバコにかえる
➃「一本位なら」と甘く見る

能動喫煙も受動喫煙も安全なレベルは存在しない。
受動喫煙は喫煙の別の形態であると考えて、受動喫煙防止法を早期に成立させる必要があると結んでいます。

3月25日 13時より 日本医学会連合主催・本郷の東大内で
公開シンポジウム 「加熱式タバコと健康」が開かれます。
参加ご希望の方は、ネット検索の上お申し込みください。