五月末の新聞に見つけたこの言葉。「解決しにくい状況に焦らずつきあう」この言葉を見て涙が出た自分は、知らずうち介護にいっぱいいっぱいでした・・。
ネガティブ・ケイパビリティ。「すぐに答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」=「出来ない状況を受け止める能力」ともいえるそうで、東大卒のテレビマンから精神科医に転じ、作家でもある帚木蓬生さんが本を書かれました。
この言葉を生み出した19世紀のイギリスの詩人・ジョン・キーツが元々詩作の際に「自分を空っぽにして、対象を見つめ続けることの大切さを言い表した言葉」だそうです。
20世紀に入り、精神科医がその言葉を発見。患者さんを診る際に欠かせない「共感」の土台となる考え方として、精神医学の世界で知られるようになり、詩人の生んだ言葉が、医学の世界で新たな生命を与えられたということでしょうか。
「人と人が接するところの問題は、おいそれと解決できなくて当たり前。無力感を覚えそうになった時、この言葉が支えになる人は多いはずです」と結ばれた新聞記事に、この言葉に出会っただけで、救われた思いの自分でした。 朝日選書 1404円です。