奥歯のかみ合わせ悪いと死亡リスク大(大阪大の調査より)

副題・75歳以上18万人調査 入れ歯の状態も大切

75歳以上のお年寄りで、奥歯のかみ合わせが悪いほど、同じ期間内に死亡するリスクが高く、状態の悪い入れ歯を使ったり、入れ歯をしていなかったりする人は、リスクがさらに高まると、大阪大などの研究チームが、20万人近くを対象の調査で明らかにし、国際専門誌に発表した

高齢化に伴い、歯を失った高齢者は増えている、入れ歯は低下した食事機能を助け、健康維持に役立つと考えられているが、入れ歯の状態と死亡リスクの関連について、残る歯も考慮した大規模な追跡調査はこれまでなかった

研究チームは。大阪府歯科医師会等の協力を得て、同府内在住、2018~19年度に歯のチェックを受けた後期高齢者18万6893人を、平均3・2年にわたり追跡。
1万5955人が亡くなっていた

歯のかみ合わせは奥歯(16本)や前歯(12本)の状態から10パターンを想定。年齢・性別、高血圧や糖尿病、認知症などの有無、喫煙、肥満など、他のリスクの影響を取り除く手法で分析した

その結果
奥歯のかみ合わせが、1か所以上ない人が全体の7割近くを占め、かみ合わせパターンが悪くなるほど死亡リスクが高まり、奥歯のかみ合わせがすべてそろう人に比べて、最大1・83倍になった

一方、噛み合わせのパターンが同じでも、入れ歯の状態が悪かったり、入れ歯をしてなかったりする人は、入れ歯の状態が良い人に比べて、死亡リスクが高く!最大1・56倍となった

研究チームの豆野智昭・阪大助教(高齢者歯科学)は、入れ歯は、はめた時にガタついたり、食事の時に簡単に外れたりせず、汚れもない状態が望ましい。「奥歯のかみ合わせが少ない人が入れ歯を作ることは、食事を摂る上で重要であるばかりでなく、健康的な食事を介して、寿命の延長に繋がっている可能性を示せた。自分の歯を保つことに加え、歯を失った場合でも、”適合した入れ歯を使うことが大事”で、定期的に適切なメンテナンスやケアを受けてほしい」と呼びかけている

と言う記事でした。高齢になっても見事に8020を達成し、これからは8028を達成なさる高齢者もいるであろう昨今、でもでも残念ながら失った歯がある方も多い現実。昨今はインプラントばかりがもてはやされますが、上手な義歯に出会えれば摂食のチャンスは増えますし、もちろんご自分で手入れだけでなく、介護が必要になっても外して洗う、手入れをすることは可能です。
うっとおしいと嫌われがちな義歯(入れ歯)ですが、歯を失った後の選択肢に必要だと思われます。歯学部で義歯の授業が少なく関心も低いとも聞きますが、歯を失った後の選択肢の一つとして、歯科医師にも義歯(入れ歯)への関心と義歯製作技術への研鑽を望むばかりです「高齢になって入れ歯の手入れは誰が!どうするんだ・・」「入れ歯にも口と同じ細菌が付着するから,手入れ悪ければかえってリスクが増す!」との議論があるのも承知しておりますが、でも噛んで「食べる・食べられる」喜びは計り知れない大きなものです

この大阪大の調査を見ても、歯を失ったままにしないで、奥歯がある意味と噛み合わせの重要性をあらためて認識し、今一度!なくてはならない奥歯に光が当たりますようにと願うばかりです。食べられて手入れしやすい事を優先して。
さらに義歯製作が上手な、腕のいい歯科技工士さん達への応援と、更なる活躍も望まれます

折々のことば  3334

古いこと、昔から知られたこと、誰でも見て見落としてきたことを「はじめて発見されたように」見るということ      ニーチェ

これが「真に独創的な頭脳の持ち主を特徴づけるもの」だと、19世紀の哲学者は言う。同時代の誰もが当たり前のこととして前提にしている思考の初期設定、ないしはフォーマットを解除し、あらためて虚心で眺めると、事物はこれまでになかった相貌で立ち現れてくる。
      ”人間的な、あまりに人間的な”(浅井昌男・手塚耕哉訳)から。
                   

忘れな草 テノール佐野成宏さんを偲んで

忘れな草  Non ti scordar di me     ディクルティス作曲 
                                                                    フルノ作詞
                     訳詞:佐野成宏

寒く太陽もない私の国から つばめ達は去っていった
すみれの花咲く春と愛と幸福の巣を探し求めて
僕のいとしいつばめも去ってしまった
さよならも 別れの口づけもなく

僕を忘れないで
僕の人生は君と結ばれている
きみを いつももっと愛し続ける
夢の中には いつも君がいる

僕のことを忘れないで
僕の人生は君とずっと結ばれている
僕の心の中には君のための 愛の巣がいつもあるから
僕のことを忘れないで

 

2月18日、今日は佐野成宏さんのお誕生日。還暦をお迎えの予定でした。光り輝くテノールは飛び去ることなく、ずっと私たちの心にあります

※この曲を、佐野成宏さんの声を!初めて耳にし衝撃を受けたのは、日野原重明先生が立ち上げられた「癒しと安らぎの環境」フォーラムでのことでした
当時、医療施設等はともすれば、機能に重きを置くばかりに、患者さん方々にとっては無味乾燥な施設になりがちで、その頃ようやくクオリティ・オブ・ライフ(QOL)が重視されるようになりました。施設の環境も、癒される、あるいはやすらぎを得られる場であるべきではないのか、という意識が醸成されつつあった中発会し、この活動を普及させていく為、広報活動の一環として当フォーラムの名誉会長である日野原先生が総監修、当フォーラム実行委員・テノール歌手の佐野成宏さんのご厚意により出来上がった、チャリティのCD「幸福の歌」の中の一曲です
ピアノはあの河原忠之さん、指揮は佐藤正浩さん、音楽監修・編曲は大島ミチルさんという豪華メンバーの素晴らしい、祈念すべき貴重なCDとなりました

あいまい表現が生む「良い加減」

擬態語や擬音語、目分量。わかるようでわかりにくいお料理の言葉
あいまい表現編が紹介されていました。あいまいだからこそ、自分ならではの味ができるのかも・・・?

・ひたひた
食材が水や出汁などに9割方、つかっているような状態。
「かぶる」は食材全部がぎりぎり水面下にある状態

・少々
親指と人差し指でつまんだ量
一つまみより少なく、塩なら0・3~0・6㌘程度
少々は塩以外にもよく使う表現で、㌘で表しにくい、ごく少量を指す言葉

・とろ火
(最も弱い火加減。とろ火、弱火、中弱火、中火、強火の順に強くなる。とろ火~中弱火までは鍋底に炎は当たらない。強火は鍋底全体に炎が当たる

・ひとつまみ
親指、人さし指、中指の3本でつまんだ量。塩で使うことが多く、0・6~1㌘ほどで、幅がある。軽量スプーンで言えば小さじ10分の1~6分の1程度

・ぐらぐら・グツグツ
ぐらぐらは、水蒸気の大きな泡が至る所で上がり、激しく沸騰している状態。
グツグツは、煮物などを中火~強火で煮る時によく使う表現

・ふつふつ・コトコト
ふつふつは、鍋底のところどころから水蒸気の細かな泡が立ち上がる「微沸騰」が続いてる様子。コトコトはシチューなどを弱火でじっくり煮込んでいる様子

・耳たぶ位の硬さ(白玉団子作る時によく言われますね)
滑らかで軟らかだが、まとめた時の形を保ってくれるくらいの硬さ。白玉団子やうどんの生地の硬さの目安

・雪冷え
常温は「冷や」、冷やしたものは「冷酒」。冷酒のなかでも5度程度にキンキンに冷やすと「雪冷え」
10度くらいなら「花冷え」、15度くらいなら「涼冷え」

               監修=東京聖栄大教授・福留奈美さん
               協力=料理研究家・渡辺あき子さん

わ~っ難しい、普段何気にやってることも文字で書くとかえって難しい・・

そう言えば、先日よく行列出来ている洋菓子売り場が、珍しくすいてたので試しに買ってみようと、そこにいた少し年長の店員さんに「どんなお味なのですか?」と聞いたら、「甘じょっぱいんです」と。それですぐ想像できましたが、そういえば今「甘じょっぱい」って若い方言うかなぁ~と思いつつ買って食べたら、チーズの塩気にクリームのほろ甘い味がうまくマッチした、「甘じょっぱい」お味で人気が伺えました(関係ないかぁ~)

FAST! 知ってることが大事!

FAST!

朝テレビでやっていたので、慌てて見ました
このFAST 実は20年以上前から待合室の、患者さんが良くご覧になる新刊本の横に、目立つようにファイルで置いといたものでした
脳卒中の気配に気づく「サイン!」です

F →face  お顔のゆがみ

A →arm  腕
      両手を前に出し、どちらかの腕が下がらないかどうか
      

S →speech  スピーチ・ろれつが回らない
            言葉が出てこない・・などないか

T →time   時間  ①上記FASTの症状が見られれば、少しでも早い 
          対応が必要です
          躊躇せずに救急車です→その際、
          ②もう一つの「タイム」
          ★その症状が ”起きた時間のメモ” があると
                                    救急処置に大いに役立ちます

このような文面で、大きく書いたファイルを、どの新刊本より目立つ様においておきました。「変な歯医者ねぇ」とよく言われましたが「知っておくと、存外役立つことってある」が院長の口癖でした。特に脳卒中の類や、くも膜下出血では時間が勝負です

当院では、禁煙支援活動もしておりましたから、喫煙は脳卒中のリスクの一つでもあるので、皆様がちょっとでも知って、頭の隅にあれば・・と思っての事でした。お役に立つことなく、緊急性がなければそれに越したことありません
久しぶりにテレビで見て、「アッ脳卒中のFASTに違いない」と思い老婆心ながら書くことにしました

番組では、お一人住まいの方が救急車に電話しようにも、「119」が出てこない方・・の例も紹介され、日ごろ傍から携帯を離さずにとも言ってました

又、「仮面高血圧」の方も居られるので、血圧を自宅で測る際、座って測るほか、立って測ることもして、比較下さいとも言っていました、違いがあるんでしょう、その違いに日頃のサインがあるんですね・・

又★自分で小さいカードに、名前・生年月日・緊急連絡先・治療中の疾患・服薬・アレルギーの有無を書いて、お財布に入れておくのはどうでしょう?と医療者からの提案もありました、役立つこと大なり!★救急安心カードですと

ストレスフルな昨今にこの寒さ、しっかり食べて水分もとられ、睡眠を十分とって、体を労わってやりましょう

★★令和7年2月、急な寒さと地方によっては大雪の現在。あちこちの番組でヒートショックや、脳梗塞のサインなどやってましたので、このブログも再々掲載させて頂きました

・令和6年も再掲載しました(令和5年初掲載でしたが、梅雨が明け再びの猛暑に他局でも再び「FAST]やっていましたので再掲載させていただきました
救急車どうしよう・・と躊躇せず、#7119に電話!と案内されていました)

料理を哲学する

最近何かと話題提供の、料理研究家の土井善晴さん

「こんなんでいいの?」という意見もあると聞くが、土井さんだからこその「今の料理の提案」がすこぶる小気味よい

先日JーWAVEでのやりとりが紹介されていた
大学生からの質問「最近は指示さえすれば機械でも美味しいご飯ができます。作り手の気持ちはどのように味に影響するのでしょうか」に答えて・・
「私はね、気持ちが荒れているとあとから反省する食べ物ができてしまうんです。素材ゆうのは触れば触るほどストレスがかかる。丁寧ゆうのは時間をかけることではなくて、素材をいたわって料理をすれば随分違うものになるんです」

移ろう自然の、小さな変化を感じ取る日本人の心の話。和食とは何か、正月料理に見る「ハレとケ」、盛り付けの哲学など扱うテーマは多彩。「人間は賢いから料理したんと違うんです。料理をして人間になったんです」など含蓄ある言葉が心を刺激する・・と、相方のステキなクリス智子さんのフォローとともに、卵を溶く音、てんぷら油のカラッとした揚げ音、ボトルから水を注ぐ音が響く中での会話。想像するだけで、美味しそうでステキ!
料理を作る、食す人の心のありようをきちんと、しかし肩肘張らずに伝える番組と好評のようです
父上は日本料理、家庭料理の真髄を、善晴さんご自身もフレンチも極めてらしたからこその歯切れよい言葉は、普段のご飯を、限りなく、シンプルに美味しくするような気がして、つい関西弁につられて聞いちゃいますね

料理を通じて生き方論みたいでもあるようですが「社会で本当にエライ人も、台所では新人と思って心がけて下さい。わきまえることを知ってもらえたらいいわ」「優しくないとおいしいものはできないよね」って言いきっちゃうのが凄い

幅広いリスナー層の中で、意外にも10代、20代からのメッセージが多いとのこと、いいじゃない・・いいじゃない
丹精込めた一品をじっくり味わうがごとく、心で言葉を味わう楽しみが人気の理由かもしれないと伝えています
毎日のご飯、気持ちよくつくって大事にしよう・・っと、あらためて思います

4日は世界対がんデー

折々のことば 3329

       傷ついた人にはあらゆる人が遠ざかっていくように見える
                            安克昌

救護する側もされる側もみな傷ついている被災現場では、傷を負っていない外部の人が訪ねてくれることが大きな意味をもったと。阪神・淡路大震災時、現地で精神医療にあたった精神科医は言う。「見捨てられていない」と安心できたから。実際、被災直後は他府県のナンバープレートを付けた車を見るだけで心を熱くした被災者は多いと。
               ”心の傷を癒すということ” より

歌会始の儀「夢」

天皇、皇后両陛下に、皇族方も陪席された想像もつかない優雅な「歌会始の儀」
今年のお題の「夢」を詠まれた、新聞で紹介された一般入選者の歌が、それぞれにとても心に響きました

マエストロ小澤の夢はぐくみて楽都となれり山岳の街 
                  長野県 金井寛さん(77)

「戦争」の対義語は「夢」生徒らは班学習で言葉を探す 
                  新潟県 大堀みきさん(65)

まだ夢を見るのだらうか議事堂の壁に隠れたアンモナイトも 
                  埼玉県 吉田光男さん(60)

カーテンをあなたがあけて文鳥とわたしが同時に夢からさめる 
                  埼玉県 川崎ななせさん(31)

「実際に叶う程度にしておけ」とそんな夢など見たくないのだ
                  東京都 村木睦さん(23)

ペンだこに薄く墨汁染み込ませ掠れた夢と言う字を見てる
                  宮崎県 森山文結さん(16)

それぞれに情景が目に浮かび、一瞬別世界に飛んでいけるようで、圧倒されます。お若い方の瑞々しく大きな気持ちの吐露にハッともし、懐かしくも、いいなぁ~と羨ましく何度も文字を追いました・・

朗々とご披露される空気まで伝わって、不思議な幸福感にひたらせて頂きました