産経新聞 「朝の詩」から

凧が空高く飛べるのは
誰かが糸を
引っぱっているから
でも凧は
その糸さえなければ
もっと自由に
空を飛べると
思っている
その糸がなければ
地上に
落ちてしまうのも
知らずに       宮川優

本を整理していて、曽野綾子さんの文庫に目が留まった。凧の糸は、それは確かに自由を縛るように見えるが、その重い糸に縛られた時に、初めて凧は強風の青空に昂然と舞うのであると

見るともなくページをめくって、再び感動したりしているからちっとも整理が終わらない。しかしそれもいいと思う・・猛暑の夏の終わり

堤剛さんのドボコン

先日に続き、たまたま堤剛さんのドボコン、再度お聴きする幸運に恵まれました
1981年6月NHKホールにおけるN響コンサートです
少し前惜しまれつつ亡くなったピアノ・中村紘子さんの同じ年のコンサートも放送され、友人たち皆興奮しました、エレガントな中村紘子さん、堤さんと仲良しだったと記憶しています

ツウぶってドボコンと言いますが、ドボルザーク作曲・チェロ協奏曲ロ短調です。かの昔、ロストロポービッチがこの曲を弾いてから、その演奏に魅せられこのように呼んでいるように、勝手に理解しています
小澤征爾さんとも通じてらしたロストロポービッチは、実に人間的でおっきくて
その演奏は心揺さぶるものでした

1981年の懐かしい堤さんのドボコン♪♪
若々しさみなぎる中にも、壮大に歌いあげ気持ちいいくらいでした

それにしても、もみあげの立派なこと!不謹慎にも「また逢う日まで~、会える時まで~」の尾崎紀世彦さんのもみあげを思い出してた私です・・あの頃、流行りだったのかなぁ

第三楽章のおわり、朗々と歌うチェロの美しい調べは、何度聴いても、演奏終わってもからだ中に響いて、とても豊かで幸せな気分になりました

そう言えばその頃のオケには、女性の演奏者が少なかったことが見て取れ、時代の移り変わりに興味深いものがありました
その後ご活躍の、ホルンの千葉薫さんの若々しいお顔もありました、隅々まで懐かしく、豊かな演奏聴かせて頂きました。みずみずしい気持ちを思い出しました
音楽ってだからステキです!

甲子園のトンボ

高校野球真っ盛り、仕事しながら何気につけてた、テレビから聞こえて来た「トンボ・・」

「トンボ歴30年のベテラン・・」のアナウンサーの声に、「うん?」と画面を見ました。そうしたら甲子園球場の地ならしをする方々にカメラが回っていて、その地ならしする器具のカタチが竹とんぼのようだったので、「トンボ」ってこの事かぁと初めて知った次第です

まるで聖地のようにきれいに整われた球場の地面は、このようなプロの方々によってなされたものだと初めてしりました。
しかもその一人の方が、「少し雨降ってくれると助かるなぁ、いや、経験値だけなんですけどね」と空を見て又、黙々とトンボと言う器具を動かすご様子に、どの部署にもこうしたプロフェッショナルな方々がいらして、成り立ってるんだなぁと、そのプロ意識の凄さに感嘆しました
だからこそ、甲子園を去る若者たちが土を持ち帰りたくなるんだろう、その甲子園の土には自分の達成感とともに、かけがえない人々、表に出ない支える人々も含めてのおもいも詰まってるから、持ち帰りたくなるんだろう・・と

ふと、島根県の足立美術館の庭師たちの話を思い出しました。2003年以降アメリカでも有名な庭園の人気ランキング一位を続けている日本庭園です
人工の庭と、自然の山々とで究極の美を創り出している庭師の集団、
拝観者が来る前の早朝に、一枚の落ち葉もゴミもチリ一つ残さず、お客様を迎えるそうです。ランキングの為でなく、今日見えるお客様の為に、「掃除に始まり掃除に終わる」といって憚らないプロの庭師たちだそうです
剪定もハサミを使わず、手でつまむ時もあり、人の手が加わって自然は美しい魅力を増す!と言い切ります

甲子園のトンボを知って、トンボ使っておもいを込めて整地し、全国を駆け上がってきた球児たちに最高の舞台を陰で支える甲子園の整備の方々を見て、足立美術館の庭師と重なり、やはり、晩秋の足立美術館に行きたくなりました

そうそう、待合室の新刊本コーナーに置いといた「大事なものは表から見えない」と言う絵本。土の下の植物の根っこやらを紹介した私の大好きな絵本でした。子供たちが、ただ飽かずページをめくってるのを見るだけで幸せでした

高校野球の選手たちの頑張りに拍手!
そして関わる方々にも、大きな拍手差し上げたいですね

後記・試合も終わった25日の情熱大陸が、たまたまこのお話しでした。今月”100歳”を迎えた「阪神甲子園球場」を支える現場を8カ月にわたって見つめたと。1月、内野の土を耕運機で掘り起こす「阪神園芸」の職員たち。春までの3カ月が、その年の命運を握っていると言う。目指すのは、水はけと水持ちのいいグラウンド。この一見相反する整備の真髄。ファンの間で語り草の”神整備”には、気の遠くなるような準備があるという。つい正座してしまうような心に響く番組でした。トンボに気づいて、いろいろ知れて有意義でした

パリの漫画喫茶 続き

8月2日にパリの漫画喫茶7月24日放送のテレビ時評のレジュメを、ここに載せさせていただきましたら、先日の夜番組の再放送がありました

興味深く拝見したら、息子に漫画喫茶を勧められて一緒に来たママとか、そのママが「漫画には人生の哲学が描かれて面白い」等、また夫と交互保育!?なる言葉も初めて知って、思いがけず知らないことだらけでした・・

パリで年間約100冊もの、日本の漫画の新刊本を出してることも驚きを持って、初めて知りました。漫画喫茶に関わる流ちょうな日本語のフランス人男性が一番好きなのは、手塚治虫の「火の鳥」だそうです、日本は世界で一番影響力のある国だよ・・と

読書の合間に、供えられてるカップ麺を、特にインスタント焼きそばのUFOが人気で、若者が器用に「美味しい」とすすってました。カップ焼きそばを大事に抱えて帰る若者に、クスっとしました

「あきらめないで、前へ」
漫画で言われると勇気出てくる!と小学生くらいの男の子が、マジ顔で言うのでした、そして一生懸命、日本語を話そうとしてて・・その位日本の漫画に魅せられてるご様子、なんだか嬉しいなぁ

又、あらためて日本の漫画のラブコメでは、女性が男の人の為に頑張ろう!だけど、欧米の女性は、自分の為にきれいになろう!と思うんだよ・・編集に携わる男性の言葉はすんなり、痛いほど届きました・・

ちなみに人気の一位はワンピース
       二位はNARUTO
       三位はドラゴンボール
       鬼滅の刃・・と続きます

日本の漫画喫茶に集うフランスの方々から、知らないことを沢山教わりました
見方が変われば、理解も変って面白い!とあらためて痛感でした
それにしても、その漫画喫茶に集う方々が、どなたも穏やかだったこと・・

草熱れ くさいきれ

今年に入って、ある方から頂いた「美人の日本語」山下景子・美しい文庫本は日めくりのように、毎日開かせて頂くのが新しい習慣になった
そして8月13日が「草熱れ」(正直読めなかったです・・)

元気への変換 
生い茂った草が強い日光に照りつけられて発する、むっとした熱気の事です
「熱れる(いきれる)」、熱くなるとか、蒸れるという意味で、「息切れ」や「息有る」が語源だそうです
炎天下で、草たちも一生懸命息をしているのですね。
「熱る(いきる)」となると、調子に乗って勢いづくという意味もあります。
暑い時は息づかいも荒くなります。ところが、息づかいが荒いのは、暑さのせいではなく、興奮して、勢いづいているからだと思い込んだわけです。
楽しくなくても、笑ってるうちに楽しくなるように、暑くて息を切らすことを元気に変えてしまったのです。
私たちも草たちを見習って、この夏の猛暑を元気に変えてみませんか。とある

はて?本の後ろを見れば平成20年4月初版、平成24年8月3版発行
今、令和6年8月。3版から約12年経った。毎日35度以上の気温を聞くことが当たり前になった昨今の夏、ひどい時は優に40度を超す日もある
山下さんが「草熱れ」を書かれた頃の8月13日は気温何度位だったのだろうか?
おもえば私も小さい頃、野原を走り回った時の気温の記憶は全くないものの、なんだかム~ッとした草の青いにおいは思い出す。「くさいきれ」は微かに記憶があるような、ないような・・
現在の猛暑では、子どもでも外を走り回るのも憚れ、嘆くばかり・・
なのでそんな子供たちを見る影もなく、私も「くさいきれ」はすっかり忘れてしまいました。皆さまは草熱れ、覚えておいででしょうか・・?

池江選手応援しています

パリ五輪も随分進んで、メダルを手にした日本人選手が、帰国する映像も見られます

早くに水泳に登場した池江選手!
白血病の過酷な闘病を乗り越え!再びオリンピックに登場下さるなんて、なんともすごいことです!がんばりましたね
闘病からプールに戻った時の、筋肉落ちてやせたお体の映像をおぼえている人は、きっと誰しも「すごいことだぁ。頑張るなぁ!すごいなぁ、応援したいなぁ」と思ったはず・・
その時、池江選手は「水の中に戻れてうれしい」と顔をくちゃくちゃにして、インタビューに答え喜んでいらして、こちらも思わず「やったね」と叫んでしまいました

思うこちらは勝手だけど、それからどれほど大変な鍛錬の日々を送られて来たのか、計り知れません。彼女は頑張った!海外に鍛える場を求めて日本を飛び出してまで頑張った!だから、今回の結果は彼女にとって不本意かもしれないけれど、私達はわかったと思う。「あきらめないこと」「やってみること」

不本意な結果の後のインタビューで「無駄だったのかな?」と池江選手。そして一呼吸して「次の4年後頑張ってみようと思う・・」と付け加えた、すごい!

「無駄」ではなかったですよ、気楽に言って申し訳ないけれど、どれだけ大変か想像つかない治療と闘病経て、私達は前向くあなたを見ました
みんなそれぞれ、いろいろあるけれど、「前を向く勇気を頂きました」
だから、心から「頑張りましたね!ありがとうございます」です

その後のリレーに参加されたあと、めまい?起こされ医務室に入られたとニュースで知りました。おおごとにならぬことを願い、しっかり休息取られてご快癒を祈り、おからだ専一にと願うばかりです。

みつけた幸せ

「似ている言葉 みつけた幸せ」
             こんな宮城県の女性の投稿がありました

ある朝、食事で「ドレッシング」を使った後、「ストッキング」を探していたら、二つの言葉が似ていると気付き、嬉しくなった。
嬉しさは、朝の通勤電車でも職場でも消えず、幸せだった。他にも似ている言葉がないかと考えた。
「ホイップ」と「ポリープ」は、やだな。「ビジネス」と「美人です」も似ている。言葉遊びだが。
なゼドレッシングとストッキングがうれしいんだろう。それぞれの世界が素敵だからだ。朝食はいつだって爽やかで、笑顔がこぼれる。ストッキングをはいて、先輩女性たちは奮闘してきた。居場所は、一方は冷蔵庫、一方はタンス。そうしたイメージが組み合わさり、偶然の出会いに不思議な気持ちになる。
日本語の語彙数は30万~50万語ほどと言う。言葉の海で、二つの言葉が偶然、仲良く浮かんで輝いた。さりげない日常を送っていたら、また言葉たちが浮かび上がるかしら?・・と

見知らぬ方の投稿に、ステキなことを考えてる方がいらっしゃるなぁ~と知った一日。この春BSでとても楽しかった番組「舟を編む」。「言葉」がとても深く面白かったので、なんだかもう一度見たくなりました・・
いつになく他愛のないお話し失礼しました、なんだかほのぼの響いたのでした

パリの漫画喫茶

7月24日の「ドキュメント72時間SP」何気に見たら、現在オリンピック真っただ中の、パリの漫画喫茶が舞台でした
他局の「Youは何しに日本へ」でも、いかに日本の漫画が世界中で愛されてるのかとしばしば感じていたけれど、このドキュメント見て思いがけずいろんなことを知る機会となりました。以下、興味深いテレビ時評のレジュメです

☆「パリの漫画喫茶」が舞台のドキュメント。この場所を訪れるのは大学の試験が終わったばかりの女性や、大学卒業後、なかなか就職が決まらない移民の男性、児童養護施設から月に一度訪れるという少年などさまざま。ステップファミリーや、離婚した元夫と交互に子どもを育てる女性など、フランスの多様な家族の在り方が見えたのも興味深かった。

番組によると、フランスで人気の漫画は「ONE  PIECE」や「ドラゴンボール」など日本と変わらないようだ。しかし、漫画喫茶に来ている人たちが手に取る漫画はもっと個人的なことが描かれてる作品だ。読んでいる漫画についてスタッフが尋ねると、皆その内容を的確に説明する。日本の漫画の成長ストーリーに勇気づけられたという人や「善と悪がグレー」で「完璧じゃなくて欠点があったり」するところが良いと評価するひともいた。

特に漫画喫茶を訪れる人の発言で驚いたのは、フランスで日本の漫画を出版している会社で働く男性が、少女漫画、特にラブコメは売れていないと言っていた場面だ。その男性が言うには
「(日本のラブコメが)男性の為にきれいになろうとか頑張ろうとする主人公が多いけれど、欧米の女性は、男性のために活躍したいわけではなく、自分のためにきれいになりたいから」とその理由を語っていた。
日本の漫画の多大な影響力を感じる部分もあったが、日本では当たり前に思っていたことが、海外では新鮮に受け止められたり、不思議に思われたりしていることが分かるという意味でも面白い企画であった。(ライター・西森路代さん)

ふむふむ・・